最新記事

災害

ニュージーランド、ホワイト島の火山噴火 なお8人行方不明、生存者いない可能性

2019年12月10日(火)07時45分

ニュージーランドの警察当局は10日、北島沖のホワイト島で9日発生した火山噴火で5人が死亡し、なお8人の行方が分かっていないと発表した。写真は煙をあげるホワイト島。ソーシャル・メディアから。提供写真(2019年 ロイター/GNS Science)

- ニュージーランドの警察当局は10日、北島沖のホワイト島で9日発生した火山噴火で少なくとも5人が死亡し、31人が負傷したことを確認し、なお8人の行方が分かっていないと発表した。

アーダーン首相は記者団に対し、上空から確認したところ生存者がいる兆候は見られないと語り、警察もこれ以上の生存者の発見は見込んでいないとの見方を示した。

首相は負傷者の多くが重体とし、負傷者と行方不明者には、同国の国民のほか、オーストラリア、米国、英国、中国、マレーシアからの観光客が含まれると述べた。

噴火は現地時間9日午後2時11分(日本時間午前10時11分)頃に発生。アーダーン首相によると、相次いで2回の噴火が発生した。

地元警察によると、9日には47人がホワイト島を訪れていた。噴火の数分前には噴火口の縁辺りに数人いたことが目撃されている。

クルーズ船「オベーション・オブ・ザ・シー」号の観光客を含む23人がホワイト島から救出された。警察は記者会見で、島内にいる人数は分かっていないとした上で、危険なために救助隊が島にたどり着けないと明らかにした。

ニュージーランド・クルーズ協会の代表は「オベーション・オブ・ザ・シー号に乗船していたツアーグループが噴火に巻き込まれたと考えている。今のところ、それ以上の情報はない」と語った。

オベーション・オブ・ザ・シー号は、ロイヤル・カリビアン・クルーズ所有のクルーズ船で、5000人近くの乗客を収容でき、乗員は1500人。12月3日にシドニーからクルーズに出て、現在はニュージーランド北島のタウランガに停泊している。

ロイヤル・カリビアン・クルーズは電子メールの声明で「多くの乗客がきょう、ホワイト島ツアーに出かけていたことを確認する」としたが、「現在、それ以上明らかにする情報はない」と述べた。

モナシュ大学のキャス名誉教授は、居住者のいない島で毎日のように観光ツアーを許していたことは危険だと以前から感じており、「長年にわたり惨事が起こるのを待っていたようなものだ」との認識を示した。

地震観測サービス「ジオネット」は11月、火山活動の活発化を受け、ホワイト島の火山に対する警戒レベルを引き上げていた。

国家危機管理庁は、島の周辺は危険な状態にあると表明。噴煙は本島からも観測でき、一部の地域に火山灰が降る恐れがあるという。

ホワイト島の火山は、ニュージーランドで最も活動が盛んな活火山の1つ。

*内容を追加しました。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニュージーランドは、太平洋プレートがオーストラリアプレートに沈み込む場所に位置し、ニュージーランドの島々自体が火山活動によって形成された。 Auckland War Memorial Museum / YouTube


20191217issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月17日号(12月10日発売)は「進撃のYahoo!」特集。ニュース産業の破壊者か救世主か――。メディアから記事を集めて配信し、無料のニュース帝国をつくり上げた「巨人」Yahoo!の功罪を問う。[PLUS]米メディア業界で今起きていること。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米求人件数、10月は予想上回る増加 解雇は減少

ワールド

シリア北東部で新たな戦線、米支援クルド勢力と政府軍

ワールド

バイデン氏、アンゴラ大統領と会談 アフリカへの長期

ビジネス

韓国政府「市場安定に向け無制限の流動性を注入」、ウ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説など次々と明るみにされた元代表の疑惑
  • 3
    NATO、ウクライナに「10万人の平和維持部隊」派遣計画──ロシア情報機関
  • 4
    スーパー台風が連続襲来...フィリピンの苦難、被災者…
  • 5
    シリア反政府勢力がロシア製の貴重なパーンツィリ防…
  • 6
    なぜジョージアでは「努力」という言葉がないのか?.…
  • 7
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 8
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 9
    「92種類のミネラル含む」シーモス TikTokで健康効…
  • 10
    赤字は3億ドルに...サンフランシスコから名物「ケー…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 6
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 9
    エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合…
  • 10
    バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きず…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中