最新記事

中国

鳩山元首相「香港人権法」を批判 習近平と会見も

2019年12月4日(水)20時15分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

どうも最近、与野党の政策的対立軸が見えず、国会には「桜」しか咲いていないようだが、なんと、自民党幹事長の意見と元民主党から出た首相との主張は、どうやら一致していたようだ。

これでは私などがどんなに「習近平を国賓として招聘することには断固反対する」と書きまくっても、日本政府は動かない可能性がある。それがどれほど売国的な悲劇をもたらすか、日本の与野党双方に見えていないということになろうか。

習近平国家主席とも集団会見した鳩山氏

12月3日、習近平国家主席は「2019従都国際フォーラム」に参加した外国の参加者を北京の人民大会堂に呼んで会見した。

その席で習近平は「中国は国際関係において平等互恵を堅持しており、各国と共同で人類運命共同体を構築していきたいと考えている」、「グローバル・ガバナンスは現在、複雑な情勢に直面している。各国はそれぞれの使命と責任を担い、建設的な対話を行うべきであり、小異を残して大同につき、多国間主義を堅持し、人類運命共同体の構築という壮大な目標の実現に向けてプラスのエネルギーを注入すべきである」などと、「人類運命共同体」を強調し、「アメリカとは違う」印象を与えることに注力している。

この言葉に吸い込まれていく日本の政治家は与野党区別なく数多くいるため、いま世界がどこに向かおうとしているのか、日本がその中でどのような役割を果たす羽目になろうとしているのか、日本の政治家には何も見えなくなっているのかもしれない。

日本はこのままでいいのか?――習近平国賓招聘に反対表明を!

日中戦争時代、あまり武器を多くは持つことができなかった中国共産党は、言葉によって農民を引き寄せようとした。つまりプロパガンダによって中国共産党への礼賛者を増やしていこうとしたのだ。以来、プロパガンダこそが中国共産党の武器となっている。文学性豊かだった毛沢東は、人民を引き寄せる言葉を操ることに長けていた。今では中国共産党中央委員会対外聯絡部が各国の政権与党における大物にターゲットを当て、それと分からないように囲い込み、中国に引き寄せる戦略を実行している。

それにまんまと嵌(はま)ってしまっているのが、日本の政治家だ。

なぜ習近平を国賓として招聘してはならないかに関しては、これまで繰り返し繰り返し、その理由を書いてきた。もう繰り返さないが、せめて現在起きていることだけでも直視してほしい。

香港では何が起きているのか。

ウイグルに関してどれだけ非人道的で残虐なことをやり続けているのか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国主席と首脳会談、プーチン大統領「戦略的協力の発

ビジネス

グローバル投資家、出遅れ欧州株に資金流入=BofA

ビジネス

独ZEW景気期待指数、1月は10.3 予想以上に低

ワールド

韓国尹大統領、非常戒厳巡る国会審議妨害否定 弾劾裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブー…
  • 5
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    台湾侵攻にうってつけのバージ(艀)建造が露見、「…
  • 10
    身元特定を避け「顔の近くに手榴弾を...」北朝鮮兵士…
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中