イギリス、合意なきEU離脱リスク、今なお消えない理由
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ジョンソン英首相率いる与党・保守党は選挙公約で、来年1月末の期限にきっちりと欧州連合(EU)を離脱する方針を掲げた。写真はロンドンの英議会前で5日撮影(2019年 ロイター/Kevin Coombs)
ジョンソン英首相率いる与党・保守党は11月24日発表した選挙公約で、来年1月末の期限にきっちりと欧州連合(EU)を離脱する方針を掲げた。ただしこれは「言うはやすく行うは難し」だ。
ジョンソン氏が12日の総選挙に勝利し、来年1月31日にブレグジット(英のEU離脱)を実行しても、英国と他のEU加盟27カ国は将来の関係を定めるために11カ月の移行期間を設けて交渉に入る。
そして来年末までに新たな貿易協定がまとまらず(専門家はその公算が大きいとみている)、さらなる交渉に向けた移行期間の延長にも合意できない場合、英国は再び事実上の合意なき離脱という混乱の事態に直面してしまう。
なぜそうなる恐れがあるかを以下に説明する。
来年1月末にブレグジット実現
世論調査の予測通りジョンソン氏の保守党が総選挙で過半数を獲得すれば、同氏は先月にEUと合意した離脱協定案の速やかな議会通過を目指す。
シンクタンクのチェンジング・ヨーロッパのジル・ラター氏は、年内に離脱協定案の可決にこぎ着けるのは不可能に見えるが、来年1月末の期限までの確実なブレグジット達成に向けた迅速な法制化手続きが行われる可能性はあるとの見方を示した。
次の期限までは11カ月
首尾よく来年1月末のブレグジットが実現すると、英国は離脱移行期間に突入し、EUとの長期的な関係を築くための交渉を行う。
現行ルールではこの移行期間を2022年12月末まで延長することが可能だが、保守党は公約で絶対に来年末で移行期間を終えると表明した。
ジョンソン政権やEUの一部高官は、既に規制の枠組み面で共通の出発点に立っている以上、11カ月で貿易協定をまとめるのは英国にとってさほど難しくないと主張している。ジャビド財務相は24日、「われわれはEUと英国の足並みがそろっている地点から(協議を)始める。われわれは全ての重要な原則で意見が一致している」と語った。