韓国ユニクロがヒートテック無料贈呈で長蛇の列 日本製品不買運動も転機か?
消費者が戻りはじめている韓国ユニクロ 撮影:佐々木和義
<韓国ユニクロの15周年記念イベントに開店前から行列ができるほどの大盛況。不買運動がはじまって4ヶ月余り、韓国の経済や生活に深い結びつきをもつ日本企業は多く、不買運動も転機か?>
韓国ユニクロが2019年11月15日から21日、15周年記念と銘打ってヒートテック10万着を準備し、買物客に無料でプレゼントするイベントを実施した。日本製品不買運動の活動家などがインターネットで批判したが、開店前から行列ができるほど大盛況だった。
日本製品不買運動の矢面に立つユニクロだが、寒さが厳しさを増すにつれ、主力製品のヒートテックを求める消費者などが戻りはじめている。
床暖房「オンドル」を支えるリンナイ
韓国ユニクロをはじめ、韓国の経済や生活に深い結びつきをもつ日本企業は少なくない。韓国の首都ソウルは1月の最高気温が氷点下になる。寒さをしのぐアイテムとして、2010年頃から中高生の間でノースフェイスが流行した。高価なノースフェイスを着ていない生徒はいじめに合い、入手するため盗難事件を起こす中高生が現れるほどになったが、この悪習にピリオドを打ったのがユニクロのヒートテックだった。寒さ対策の主役がノースフェイスからユニクロにかわり、いじめがなくなったという。
また、リンナイを韓国企業と思っている韓国人は多い。オンドルと呼ばれる床暖房が使われてきたが、現在はガスや電気、灯油などを使用した温水床暖房が主流となっている。1974年に韓国に進出したリンナイは床暖房で韓国3位のシェアを持ち、家庭用ガスコンロは50%のトップシェアを独走する。韓国の生活になくてはならない企業となっている。
先端素材は日本依存が高い。LGディスプレイは世界液晶パネル市場で20%のシェアを持つ。2009年から中国BOEに1位の座を明け渡す18年まで大型液晶パネル市場で首位を維持してきた。このLGディスプレイを支える企業に日本電気硝子がある。2005年に合弁会社を設立して日本で製造した板ガラスを韓国で加工し、LGディスプレイに供給してきたが、2013年に14億ドル余り(1350億円)を投じて京畿道に生産工場を建設した。日本企業の韓国進出で最大の投資額である。韓国工場が稼働するとLGディスプレイの日本電気硝子への依存度はさらに高まった。
韓国に進出している日本企業3000社余りあるというが、その多くがサムスン、LG、現代など韓国のグローバル企業に素材や部品を供給する。液晶や半導体の原材料、自動車のエンジン部品、鋼板、ガラス、各種製造機器など多様な主要部品を日本企業が供給している。