最新記事

日韓関係

韓国ユニクロがヒートテック無料贈呈で長蛇の列 日本製品不買運動も転機か?

2019年11月28日(木)16時30分
佐々木和義

消費者が戻りはじめている韓国ユニクロ 撮影:佐々木和義

<韓国ユニクロの15周年記念イベントに開店前から行列ができるほどの大盛況。不買運動がはじまって4ヶ月余り、韓国の経済や生活に深い結びつきをもつ日本企業は多く、不買運動も転機か?>

韓国ユニクロが2019年11月15日から21日、15周年記念と銘打ってヒートテック10万着を準備し、買物客に無料でプレゼントするイベントを実施した。日本製品不買運動の活動家などがインターネットで批判したが、開店前から行列ができるほど大盛況だった。

日本製品不買運動の矢面に立つユニクロだが、寒さが厳しさを増すにつれ、主力製品のヒートテックを求める消費者などが戻りはじめている。

床暖房「オンドル」を支えるリンナイ

韓国ユニクロをはじめ、韓国の経済や生活に深い結びつきをもつ日本企業は少なくない。韓国の首都ソウルは1月の最高気温が氷点下になる。寒さをしのぐアイテムとして、2010年頃から中高生の間でノースフェイスが流行した。高価なノースフェイスを着ていない生徒はいじめに合い、入手するため盗難事件を起こす中高生が現れるほどになったが、この悪習にピリオドを打ったのがユニクロのヒートテックだった。寒さ対策の主役がノースフェイスからユニクロにかわり、いじめがなくなったという。

また、リンナイを韓国企業と思っている韓国人は多い。オンドルと呼ばれる床暖房が使われてきたが、現在はガスや電気、灯油などを使用した温水床暖房が主流となっている。1974年に韓国に進出したリンナイは床暖房で韓国3位のシェアを持ち、家庭用ガスコンロは50%のトップシェアを独走する。韓国の生活になくてはならない企業となっている。

先端素材は日本依存が高い。LGディスプレイは世界液晶パネル市場で20%のシェアを持つ。2009年から中国BOEに1位の座を明け渡す18年まで大型液晶パネル市場で首位を維持してきた。このLGディスプレイを支える企業に日本電気硝子がある。2005年に合弁会社を設立して日本で製造した板ガラスを韓国で加工し、LGディスプレイに供給してきたが、2013年に14億ドル余り(1350億円)を投じて京畿道に生産工場を建設した。日本企業の韓国進出で最大の投資額である。韓国工場が稼働するとLGディスプレイの日本電気硝子への依存度はさらに高まった。

韓国に進出している日本企業3000社余りあるというが、その多くがサムスン、LG、現代など韓国のグローバル企業に素材や部品を供給する。液晶や半導体の原材料、自動車のエンジン部品、鋼板、ガラス、各種製造機器など多様な主要部品を日本企業が供給している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中