トランプ弾劾はあり得なさそうで、実はあり得る
Getting to 67%
それでも共和党から造反議員が出るようなら、トランプはゾンビと化す恐れがある。「大統領選だけでなく、全般的に立場が弱まる」とマコネルに近い筋は言う。「いずれも退役軍人のアーンストとマクサリーが有罪票を投じたら一大事だ」
その他の共和党議員たちもあれこれ計算しているところだ。上下両院で多くがトランプに対して好悪相半ばする気持ちを(公の場で口にしないまでも)抱いている。大統領の粗野な態度、混乱を極めるホワイトハウス、シリアでのクルド人勢力への裏切り、ウクライナの大統領に政敵を調べさせようとした「狂気の沙汰」(ある古参議会スタッフの言)。こういうことの全てが伝統を重んじる党員たちのひんしゅくを買った。
イデオロギー的な問題もある。共和党議員の大半は自由貿易と小さな政府という伝統的な政策を信じている。2010年の中間選挙では草の根保守派連合のティーパーティーが138人の候補者を送り込んだ。無節操な歳出増に抗議するためだった。
トランプ時代に入って自由貿易は死に、歳出の話は誰もしない。共和党議員は「罠にかかった」ような気分で大統領を支持していると、共和党下院議員のジャスティン・アマッシュ(ミシガン州)は言う。ちなみに彼はこの夏、離党を表明している。
また別の共和党下院議員の非公式発言によると、まるで「ロボトミー手術を受けたかのように、本心を公言できない」人が少なからずいる。
理由は単純明快だ。政治家ゆえに彼らは世論の読み方を心得ている。最近は大統領退任を支持する人がわずかに過半数を上回る結果もいくつかある一方、共和党支持者では依然トランプ支持が盤石だ。
最近のFOXニュースによる世論調査では49%が大統領罷免を支持。ただし共和党支持者に限ると、その値は8%に下がり、87%がトランプ罷免を支持しない。この状況で公然と造反すれば、ただでは済まない。
いい例が、フロリダ州ネープルズ選出のフランシス・ルーニー下院議員だ。彼は10月にテレビ番組に出演したとき、ウクライナ疑惑をウォーターゲート事件になぞらえた。「当時は誰もが『調査は(リチャード・)ニクソンを狙った魔女狩り』だと言っていたが、そうではなかったことが判明した」と語り、今後の調査次第で自分も大統領の弾劾に賛成票を投じる可能性があると示唆した。
この発言にルーニーの地元選挙区民は猛反発(激怒したホワイトハウスも、それをあおった)。彼の事務所には有権者から「大統領を支持するつもりがないなら辞任しろ」との抗議が寄せられた。