ウイグル弾圧で生産された「新疆綿」を日の丸アパレルが使用?
Cotton and Corporate Responsibility
綿花の山からごみを取り除く労働者 DOMINIQUE PATTON-REUTERS
<MUJIとユニクロを含む世界の衣料大手が、強制労働のウイグル人が生産した綿を調達している疑惑が浮上>
日本の無印良品(MUJI)とユニクロが国際的な批判にさらされている。理由は、中国の新疆ウイグル自治区で綿を調達しているとされること。中国政府は新疆で、ウイグル人をはじめとするイスラム系少数民族を100万人以上強制収容しているとされる。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は5月、新疆ウイグル自治区を製品のサプライチェーンに組み込んでいる企業について報じた。さまざまな報告と証言によると、収容施設を出所したウイグル人などがこの地域の工場で強制的に働かされているという。
記事で名指しされた企業の中には、強制労働で綿花が生産されているウズベキスタンから綿花を調達しないという誓約書に署名している企業もあった。中央アジアのウズベキスタンと新疆では状況にいくらか違いはあるが、人権侵害をめぐる企業責任が問われていることに変わりはない。
10月にはNPOのウイグル人権プロジェクト(本部ワシントン)のニュリ・トゥルケル議長が、中国問題に関する米連邦議会・行政府委員会で証言。「東トルキスタン(ウイグル人は新疆ウイグル自治区をこう呼ぶ)で強制労働により商品が製造されている可能性を無視することはさらに難しくなっている」と述べた。
そして11月初めにはオーストラリアの公共放送ABCが、無印良品とユニクロが「新疆綿」の名を付けた製品を売り出して「波紋を呼んでいる」と報じた。無印良品は5月に「新疆綿」シリーズを発表。ユニクロは「高品質で知られる新疆綿を使用」という宣伝文句のシャツを販売している(現在は文言を削除)。
無印良品はABCの取材に対し、強制労働による製品には関与しないという社内基準を示し、今後さらに内部調査を行うと答えた。ユニクロは「新疆ウイグル自治区に直接の生産パートナーはいない」と答えている。どちらの企業も「新疆綿」を広告でうたいながら、強制労働のイメージから距離を置きたがっている。
ウズベキスタンには効果
綿は労働集約的な作物だ。欧米では機械化により綿花の収穫に変革が起こったが、今も綿花を手で摘む地域では強制労働が引き続き問題となっている。綿の加工も行う新疆では、生産のいくつもの段階で強制労働のリスクがある。
一方、ウズベキスタンは、綿花生産の強制労働を撲滅する運動の中心地になった。国際人権擁護団体コットン・キャンペーンの誓約には、300社以上が署名した。「ウズベキスタン政府が綿花産業における強制的な児童および成人労働に終止符を打つまで、製品のためにウズベキスタン産綿花を意図して調達しない」というものだ。