米軍シリア撤収で注目される民主有力候補の外交アドバイザー
勉強熱心なウォーレン氏
ウォーレン氏は、ハーバード大教授時代に破産法などに関する研究で名声を高め、来年の大統領選に向けても内政問題に重点を置いている。
しかし今回の出馬前には外交政策の知識強化にも努め、オバマ政権の国防長官だったアシュトン・カーター氏の側近だったサーシャ・ベーカー氏を17年に陣営に迎えた。
ウォーレン氏は同年、上院軍事委員会に籍を置き、イラクやアフガニスタン、中国など諸外国を歴訪。陣営の広報担当者によると、この間にウォーレン氏は外交政策の「包括的なビジョン」を確立し、それは現在提唱している国務省の刷新計画や通商政策などに反映されていると説明した。
ウォーレン氏は、12年の上院選で協力を仰いだバンダービルト大のガネシュ・シタラマン教授(法学)ら専門家の意見にも耳を傾けている。
シタラマン氏は、軍事力よりも外交努力を優先する進歩的な政策の提唱者だが、ロシアや中国といった独裁的ナショナリスト国家と手を握る危険もよくわきまえている。
トランプ氏が掲げる「米国第一」とウォーレン氏の立ち位置は似ているようにも見える。ただ陣営は、トランプ氏の単独行動主義と対照的に、ウォーレン氏はシリアなどで多国間主義を打ち出すと強調した。
「反体制的」なサンダース氏
サンダース上院議員の中心的な外交アドバイザーは、17年初めから同氏の事務方として働くマット・ダス氏で、ワシントンで主流の外交政策に対する批判的な姿勢で知られる。
ダス氏は中東専門家で、リベラル系シンクタンクのアメリカ進歩センター出身。サウジアラビアによるイエメンへの軍事介入に米国が関与するのを止めることを求める上院の決議案提出に、主導的な役割を果たした。
決議案は4月、異例の超党派の賛成を得て可決されたが、トランプ氏が署名を拒んでいる。
ダス氏は、この超党派決議について、議会が大統領の軍事力行使を抑える1つのモデルとなるものであり、軍事介入の見直しに国民の支持があることを示していると強調。「国民は、米国が世界から手を引くべきだと考えている訳ではないが、世界で実際にどう関わり合っていくか、真剣な議論を望んでいる」と訴えた。
ダス氏をはじめ、サンダース氏が助言を受けている人々は、サウジアラビアやイスラエルなど人権侵害の面で国際社会から批判されている国に米国が無条件で支援を与えることにも懐疑的だ。
頭脳集団を集めたブティジェッジ氏
インディアナ州サウスベンド市長のピート・ブティジェッジ氏は、海軍士官としてアフガニスタンに従軍した経験を討論会で取り上げるなど、大統領選で外交政策を前面に押し出している。
外交チームをけん引するのは、オバマ政権で国防次官補だったダグ・ウィルソン氏だ。ウィルソン氏もブティジェッジ氏と同じくゲイで、同性愛者であることを公言することを禁止した「聞くな言うな」の米軍規定を2010年に撤回させることに尽力した。また政治メディアのポリティコによると、ブティジェッジ氏は世界中から無償で助言をしてくれる専門家を100人超抱えている。
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