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ラグビーの歴史・経済・未来・課題──今、歴史的転換点を迎えている

THE FUTURE OF RUGBY

2019年11月1日(金)17時15分
マルコム・ビース(ジャーナリスト)

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自国開催のW杯で日本は4連勝で1次リーグを突破した AP/AFLO

日本代表チームがアイルランド戦に勝った後、日本ラグビーフットボール協会の清宮克幸副会長は改めてプロリーグの設立を訴え、イギリスを拠点とする動画配信サービスDAZN(ダゾーン)と提携して試合を放送したいと記者団に語った。

MLRは急速に成長し、日本企業がトロント・アローズを支援するといった例もある。だが全体としては企業型のモデルから離れ、コミュニティー型のモデルに向かっているようだ。

一方、ケネディのようなオーナーやコロラド州グレンデールのマイク・ダナファン市長のように熱心なラグビーファンは、リーグとラグビーの両方を売り込む方法を見つけた。

元ラグビー選手のダナファンは、故郷の小さな町を「ラグビーの町」に変えた。そこにはアメリカで唯一のラグビー専用スタジアムがある。ダナファンは、若者の関心とインフラという国際ラグビー界の2つの大きな課題に同時に取り組んだ。同市のスタジアムは子供のラグビーの練習にも使えるし、市のレクリエーションセンターとしても機能する。スタジアムや周囲の施設の維持費は市から提供される。

グレンデールの住民5000人の一部は、最初は懐疑的だったが、次第にラグビーを好きになった。「グレンデールは輝かしい成功の一例だ」とダナファンは言う。「みんなが力を合わせているからだ」

MLRやその他の若い組織は、1990年代後半に欧州各国のラグビー協会が直面し、日本がようやく克服したかにみえる問題に直面するだろう。いずれにせよ、プロ化以外の道はない。

女子ラグビーの高まる人気

ハウズが言うように「観客にスタジアムに足を運んでもらう」ことは、ラグビーをブランドとして成長させ、試合での盛り上がりを生み出す上で不可欠だ。「スポーツとはブランド力だ」と彼は言う。「地元の市場でうまくいけば、全国レベルでも自然にうまくいくはずだ」

一部の国のラグビー界は、まだそこまでの段階に至っていない。エクアドル・ラグビー協会のニコラス・ディナポリ元会長によると、プロリーグの設立を検討する前に、ラグビーの選手として試合に専念する覚悟のある選手を見つけなければならない。エクアドルには、コーチ、審判、クラブへの資金提供、それを支援するスポーツ省も必要だ。同省は中南米の国ならどこにでもある。

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