最新記事

躍進のラグビー

ラグビーの歴史・経済・未来・課題──今、歴史的転換点を迎えている

THE FUTURE OF RUGBY

2019年11月1日(金)17時15分
マルコム・ビース(ジャーナリスト)

magSR191101_rugby6.jpg

躍進するブラジル女子ラグビー IVAN SHUM-CLICKS IMAGES/GETTY IMAGES

ウルグアイとディナポリの生まれ故郷のアルゼンチンは「別次元のまったく上のレベル」にあるが、全国的なプロリーグの創設が絶対に必要だ。現在、アルゼンチン人のプロ選手はたくさんいるが、ヨーロッパや、日本・オーストラリアなど5カ国から成る国際リーグでのみプレーしている。

「最も深刻なのは経済面だ」とディナポリは言う。「金がないから、ほぼ全ての仕事が無給で行われている。ラグビーが文化として定着していないところで成功を収めるのは難しい」

それでもラグビー人口は増えている。1997年にラグビー協会が創設されたペルーでは、2013年時点で同協会に所属していたのは6クラブと4大学のみだったが、現在は35クラブと22大学に増加。国内開催の試合に出る成人の選手は2000人に上る。首都のリマ郊外には代表チームのための新スタジアムも建設され、今後熱心なファンが増えていく可能性は高いだろう。

ワールドラグビーのフィリップ・ウィルキンソン広報担当によれば、アラブ首長国連邦やマレーシア、インドの協会も積極的に活動を展開。それぞれ自国政府と協力して、ラグビーを学校のカリキュラムに組み込むための取り組みを進めているという。

そして近年、目覚ましい成長を遂げているのが女子ラグビーだ。ワールドラグビーの女子部門統括責任者であるケイティ・サドラーは、「女子ラグビーはラグビー界にとって戦略的にとても重要な分野だ」と期待を寄せる。世界全体でも、この1年で登録選手の数は28%も増加した。

なかでも女子ラグビーが盛んなのはマレーシア、インド、イランと中国。北米は成長が停滞している唯一の地域だが、サドラーは特にアメリカでの普及に重点的に取り組んでいく考えだ。当面の目標は、女子ラグビーが全米大学体育協会(NCAA)の正式種目に採用されることだ。

人々を魅了するラグビー精神

伝統国以外でも女子ラグビー人気は確実に高まりつつある。7月のパンアメリカン競技会ではコロンビアがブラジルに意外な勝利を遂げて話題を呼んだ。ブラジルは7人制の女子競技で南米1位の座を維持しており、2020年の東京オリンピックに出場の可能性が高い。

10月5日と6日には、米コロラド州グレンデールでHSBCワールドラグビー女子7人制シリーズが開催された。優勝はアメリカだった。

アフリカのチュニジアでも10月半ばに同様の大会が開催され、12の女子チームが出場。南アフリカが前回優勝のケニアを15対14と僅差で破った。今後、各地域で正式にオリンピックに向けて代表チームが決定される。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランのインフラ攻撃を5日間延期、トランプ氏表明 

ワールド

ジョスパン元仏首相が死去、シラク政権下で社会改革を

ビジネス

ECB、インフレ定着リスクなら躊躇せず行動=スロバ

ワールド

中国との関係改善「反米意味せず」、台湾野党党首が主
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 3
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記者に、イスラエル機がミサイル発射(レバノン)
  • 4
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 5
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 9
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 10
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中