ISが東南アジアを狙っている──マレーシア内相
ISIS Seeking To Move Base To Southeast Asia After Baghdadi Death
インドネシア、バリ島爆弾テロの慰霊碑。イスラム教テロ組織の犯行で、2002年に200人以上の死者を出した Beawiharta-REUTERS
<外国人戦闘員の帰国やインターネットを通じた過激化の脅威もあり東南アジアも安穏としてはいられないとマレーシアの内相が警告>
最高指導者のアブ・バクル・アル・バグダディを失った過激派組織IS(イスラム国)が、東南アジアを次なる活動拠点にしようと狙っている――マレーシアのムヒディン・ヤシン内相がこう警告した。バグダディは10月下旬、米陸軍の第75レンジャー連隊と特殊部隊デルタフォースがシリアで展開した急襲作戦で追いつめられ、子ども2人を巻き添えにして自爆した。
ヤシンは11月27日、タイのバンコクで開催された「ASEAN国境を超える犯罪に関する閣僚会議」に出席。この中で「シリアとイラクにおける支配地域のほとんどを失ったダーイシュ(アラビア語でISISのこと)は、新たな拠点を探している。マレーシアは、ダーイシュが活動拠点を東南アジアに移す可能性もあると考えている。テロ組織の外国人戦闘員の帰国やインターネットを通じた過激化、組織に属さないローンウルフ(一匹狼)型テロリストによる攻撃などの脅威も高まっている」と警告した。
パスポートが簡単に買える
米国務省でテロ対策を担当するネイサン・セールス調整官は、東南アジアで「ごく最近になってみられるようになった現象」に自爆テロがあると指摘。これは、ISの戦闘員が中東の外にテロ攻撃のテクニックや手順を「輸出」している証拠だと主張した。
東南アジアに流入しているISのテロリストの数は、現時点では少ないと考えられている。だが巧妙に作成された偽造パスポートや盗難パスポートが出回るようになれば、その数は増えていく可能性がある。
アルカイダと関連がある東南アジアのイスラム過激派組織、ジェマ―・イスラミア(JI)の元戦闘員ナシル・アバスは、香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙に対して、そうしたパスポートが戦闘員たちの移動に役立っていると語った。
「盗難パスポートの転売業者がいて、パスポートが欲しい者は自分と顔の特徴が似ている写真がついたパスポートを買うことができる」と、マレーシア出身の彼は語った。「転売業者は大量の盗難パスポートをストックしているから、選択肢の幅も広い」。アバス自身かつて、インドネシア人のパスポートを買い取ってフィリピン南部に渡り、そこで戦闘員の訓練キャンプを立ち上げたという。
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