地雷撤去はアフガン女性の自立と夢への第1歩
Afghan Women Taking Their Country Back
チームの最年少は、5カ月ほど前に加わったザーラ・アタイー(21)だ。
アタイーが働きだしたのは16歳。近所の幼い子供たちに算数や読み書きなどの基礎的な勉強を教え始めた。両親は読み書きができず、彼女はこの年齢で家計を支える大黒柱になった。
父親のアリ・フセインは男性地雷除去チームの警備員だったが、雇い止めになっていた。そこでアタイーは、新設された女性地雷除去チームに応募した。非常に危険な作業だが、ほかにフルタイムの仕事はほとんどなく、月400ドルの報酬は民間の約4倍。これを見逃す手はなかった。
父親はアタイーの決断に賛成した。唯一の稼ぎ手として家計を支える娘を誇りに思っているが、危険な仕事だという認識はある。「作業中に地雷に出くわすかもしれないが、働いてもらうしかない。うちは生活が苦しいから」
世界有数の地雷汚染国
アタイーはこの仕事に強い誇りを持っているが、いずれは岩だらけの作業現場から離れるつもりだ。お金をためたらビジネスの学士号を取得して、服をデザインする会社を起業したいという。だが今のところは、困難で危険な責務を背負い続けている。
チームの他のメンバーも、多くは女手一つで家族の暮らしを支えながら、将来就きたい仕事に備えて勉強している。2児の母ファイザ・レザイーは、遠く離れたカブールの大学にいる夫の学費を援助している。大学で学ぶことを勧めたの彼女自身だ。
チーム最年長のジャミーラ(34)は、5人家族の唯一の稼ぎ手だが、弁護士になる夢をかなえるため、夜間に時間を見つけて勉学に励んでいる。地雷除去の仕事は女性たち個人の尊厳と経済状況の両面に多くのメリットがあるが、同時に重大な危険を伴う。
アフガニスタンは世界有数の地雷汚染国だ。40年に及ぶ紛争の負の遺産は膨大な数に上り、いまだに700平方キロ近い土地に地雷やクラスター爆弾などの不発弾が埋まったままになっている。
今年5月には、バーミヤンの小さな学校の裏で、何十年も眠っていた不発弾が爆発し、少年3人が死亡。遺体が確認されたのは24時間近くたってからだった。地雷やクラスター爆弾などの不発弾によるアフガン人死傷者の数は、昨年だけで1400人以上、2012年以降3倍に増えている。犠牲者の80%以上は子供たちだ。
そんなアフガニスタンから地雷を一掃するのは大仕事だ。国際社会は過去30年、アフガニスタンの地雷除去プロジェクトに推定約15億ドルを投じてきた。だが、地雷ゼロと宣言されたのは全34州のうち1州のみだ(バーミヤンもゼロに近づきつつある)。