日本が強くなったのはラグビーがグローバル化したからだ
JAPAN’S GREAT LEAP FORWARD
ラグビープロ化の波及効果が24年たってようやく極東の日本に訪れた──というわけだが、これで日本がティア1の仲間入りをした、と考えるのはいささか早計だろう。
日本と同様にティア2国に属していたアルゼンチンは、最近急速に力を伸ばしている国の代表格だ。2007年のフランス大会で3位に、2015年のイングランド大会でもベスト4に入り、日本と同じく2016年からスーパーラグビーにも参加。2019年6月にほぼアルゼンチン代表選手で構成するジャガーズが準優勝し、その優等生ぶりが世界のラグビーメディアに称賛された。ところが今大会でアルゼンチンはイングランド、フランスという強豪がひしめく「死のプール」に沈み、4大会ぶりに決勝トーナメント進出を逃した。
この結果を裏付ける興味深いデータがある。ニュージーランド30人/南アフリカ7人/オーストラリア9人/アイルランド21人/イングランド6人/ウェールズ26人/スコットランド9人/フランス8人──。各国の人口1000人当たりのラグビー人口だ。「ラグビー国力」を裏付ける数字だが日本は0.8人、アルゼンチンは2人しかない。
今回のアルゼンチンの予選敗退は、初戦でフランスにわずか2点差で競り負けたことが全てだ。しかし、この惜敗はフランスとアルゼンチンの「ラグビー国力」の差が、試合の最後の局面で表れた結果ともいえる。
アルゼンチンで起きたことは日本にも起き得る。まして今大会は自国開催だ。敵地でティア1国に当たり前に勝てるようになって初めて、世界は日本を強豪国の一員と認めるだろう。
ジョーンズが、そしてジョセフが日本代表のヘッドコーチになったのもグローバル化の結果にほかならない。グローバル化の究極の果実であるワールドカップの熱狂が去った後に、日本ラグビーの本当の試練は訪れる。
<本誌2019年10月29日号「躍進のラグビー」特集より>
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※10月23日発売号は「躍進のラグビー」特集。世界が称賛した日本の大躍進が証明する、遅れてきた人気スポーツの歴史的転換点。グローバル化を迎えたラグビーの未来と課題、そして日本の快進撃の陰の立役者は――。