米トルコ「停戦」合意はトランプの自作自演、クルド人はその犠牲になった
この戦闘停止は短命に終わる可能性がある(18日には、トルコ軍とYPGの間で軍事衝突があったと報道された)。合意直後の報道によれば、クルド側は攻撃停止を歓迎したが、20マイルの安全地帯には言及していない。
最終的に事態はトランプの狙いどおりになるかもしれない。もしクルド側が取引条件を拒否すれば、トランプはテロ組織ISIS(自称イスラム国)との戦いで同盟関係にあった彼らを「侵略者」扱いして、完全にトルコ側に回る可能性が高い。
トランプは金正恩と「恋に落ちた」と語ったときのように、エルドアンを手放しで称賛し始めている。16日には、クルド人は「天使ではない」と評した。翌日には、トルコが「数百万の人々を殺さないで済む」と肯定的な見方を披露した。
17日の合意は戦闘の終結ではなく、アメリカの変節を示唆したのかもしれない。
©2019 The Slate Group
<本誌2019年10月29日号掲載>
【参考記事】トルコの侵攻を黙認する見返りに、米国、ロシア、シリア政府が認めさせようとしていること
【参考記事】クルド人を見捨てたのはアメリカだけではない
※10月23日発売号は「躍進のラグビー」特集。世界が称賛した日本の大躍進が証明する、遅れてきた人気スポーツの歴史的転換点。グローバル化を迎えたラグビーの未来と課題、そして日本の快進撃の陰の立役者は――。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら