日本と韓国の危険なゲームが世界経済を殺す
日韓の仲介役として適任なのはアメリカだが、トランプ政権は自国の経済的利益に影響はないとみて、この対立をおおむね静観している。しかしこれはアメリカにとって決定的な戦略的意義を見落としている。北朝鮮の「核の野望」と中国の影響力ににらみを利かせるためには日韓の協力関係が不可欠だ。
現に中国はこの日韓対立を利用して仲裁者として動き、影響力の拡大を図ろうとしている。8月の日中韓の外相会議では、中国は日韓に問題解決のための継続的な対話を促した。
韓国がGSOMIA破棄を発表すると、米高官は相次いで懸念や失望を表明。韓国に再考を呼び掛けた。この協定がアメリカにとって安全保障上重要だからだ。これは前進だが、本当に必要なのは日韓を交渉のテーブルに着かせる努力だろう。
アメリカの介入がなくとも、日韓は対立の危険性を自覚し、自制するべきだ。事態が収拾不能になる前に。
<本誌2019年10月22日号掲載>
※10月22日号(10月16日発売)は、「AI vs. 癌」特集。ゲノム解析+人工知能が「人類の天敵」である癌を克服する日は近い。プレシジョン・メディシン(精密医療)の導入は今、どこまで進んでいるか。