比ドゥテルテ、難病告白 不安抱く国民に「年相応の病気持ち」と発表し火に油
「俺を殺す気か」 激務の大統領職
ドゥテルテ大統領は就任以来、麻薬犯罪への超法規的措置を含む強硬な対策などで国際社会からは「人権侵害」の批判を受ける一方で国内では9月の世論調査でも依然として78%という高い支持率を維持している。
国内的には麻薬問題以外にも南部を中心にしたイスラム系過激組織やテロ組織による治安悪化で軍との衝突が相次ぐなど政治課題は山積している。
12月末には南部ミンダナオ島に現在も出されている戒厳令の延長問題も控えており、多忙な日々が続いている。
そうした状態で大統領としての執務をし続けることは74歳のドゥテルテ大統領にとってはかなりの負担とみられ、ロシア訪問時には、かなり過密なスケジュールに対して「俺を殺す気か、と漏らしていたと聞いている」(パネロ報道官)という。
モスクワからマニラまでの約13時間の飛行中も「風邪の症状が出ていたこともあり、ほとんど眠ることが出来なかったようだった」(同報道官)と報じられている。
フィリピンでは現職大統領が任期中に死亡または職務続行不能な状況になった場合には、副大統領が昇格して残る任期を全うすることになっている。
しかし現在のレニー・ロブレド副大統領は野党党首であることからドゥテルテ大統領は「絶対に任期一杯大統領の職には留まる」との意向をこれまでも示しており、そうした「使命感」も健康面や体力面での負担になっているとの見方も出ている。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など