英国コンテナ39人遺体 日本で働いたベトナム女性は家族のため再び異国へ渡り亡くなった
3年間日本で就労した経験があったというトゥラ・マイ。ソーシャルメディアより
<アジア系の若い男女が遺体で見つかった事件は、外国人労働者をめぐる闇を明るみにした──>
ベトナム北中部の複数の地方に点在する田舎町は今深い悲しみに包まれている。10月23日、遠く故郷を離れた英国ロンドン北東にあるエセックス州グレイズで冷凍トラックの荷台コンテナから発見された39体の遺体の中にベトナム人が含まれていることがわかったからだ。
コンテナ内で不慮の死を遂げたベトナム人の中に家族がいるとみられるハティン省、ゲアン省に住む28家族は、ベトナム当局から英国で見つかった遺体に関する手掛かりや情報が入るのを絶望的な気持ちで待ち続けている。
英BBCや米CNNなどによると、10月23日午前グレイズの救急隊は、ウォーターグレイド産業の敷地内に駐車していた大型トラックのコンテナ内に39人の遺体があるとの緊急連絡を受けて現場に急行した。
コンテナの中には8人の女性と31人の男性の遺体があり、全員の死亡が確認された。現場に到着した警察によって、当初は犠牲者全員が「中国人である」と発表され、駆けつけた在英中国大使館も全員が中国人と確認したという。
しかし中国人と断定する根拠となった所持品のうち、少なくとも6人の中国旅券が偽造であることが10月25日に判明。別の所持品などから「中国人ではなくベトナム人の可能性が高い」と発表された。連絡を受けた在英ベトナム大使館関係者などが本国治安当局と連絡をとりながら、英警察と協力して犠牲者の身元特定の作業が懸命に続けられているという。
ゲアン省のパン・バン・ティン氏は「私の娘は10月3日にベトナムを出発し、フランスとイギリスに渡航するために中国に行った」という報告書をベトナム当局に提出。26歳になる娘パム・ティ・トゥラ・マイさんが犠牲者に含まれている可能性が極めて高くなっている。