最新記事

人身売買

英国コンテナ39人遺体 日本で働いたベトナム女性は家族のため再び異国へ渡り亡くなった

2019年10月31日(木)19時00分
チュック・グェン(フリーライター)

reuter_20191031_190414.jpeg

トゥラ・マイさんが家族に送った最後のメッセージ  HoaNghiem3 via Twitter

ママ、ごめんなさい。私の海外渡航は失敗する......

トゥラ・マイさんは中国から欧州に向かう際、不法な密入国のために8億9200万ベトナム・ドン(約3万ポンド)を支払わなければならなかったという。

ベトナムの家族にトゥラ・マイさんから入った連絡はベルギーからで、10月22日午前7時22分(ベルギー時間)に「これからコンテナに入る、探知されないために携帯電話をオフにしなければならない」という内容だったという。それが直接会話をした最後になったと家族は話している。

その後、トゥラ・マイさんから母親に携帯電話のショートメッセージが送られてきたが、そこには「ママ、ごめんなさい。私の海外渡航は失敗する。死にそう。息ができない」という内容で、これを最後に連絡が途絶えた。

娘からのSOSを受け取った母親は、すぐに海外渡航業者に連絡を取り、業者が現地の業者を通じてトラックの運転手になんとか連絡をつけた。しかし、運転手が停車してコンテナを開けた時にはすでにコンテナ内の39人全員は死亡していたという。

日本でも3年間働いたことがあるトゥラ・マイ

家族の話しによるとトゥラ・マイさんは身長1メートル50センチ、体重46キロと小柄で3人兄弟の末っ子。以前にも家計のために大学を中退し、日本で3年間就労した経験があったという。9月によりよい仕事を探すために英国渡航を決意、中国に渡ってイギリスに向かう書類を準備していたという。

トゥラ・マイさんらが利用したベトナムの業者(人身売買業者)によると、欧州での仕事を希望するベトナム人はまず中国に行き、偽造の中国旅券などの必要書類を用意。その後ベルギーに渡航し、そこから大型トラックのコンテナで英国に密入国するルートが一般的という。

コンテナは国境での荷物検査を逃れるため冷凍コンテナとして登録され、実際の検査があるときには検査官の目を逃れるためにコンテナ内の温度をマイナス25度まで下げるという。国境での検査中という短時間とはいえ、マイナス25度のコンテナ内では死亡する事例も多いという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアがドローン・ミサイル攻撃、ハルキウで少なくと

ワールド

トランプ氏、イランとの交渉「関心ない」 全指導者排

ワールド

アングル:ベトナム、新興国格上げ目前に海外資金流出

ワールド

アングル:メキシコ「麻薬王」拘束作戦の立役者、家族
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 2
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 3
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 4
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 5
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 6
    女性の顔にできた「ニキビ」が実は......医師が「皮…
  • 7
    大江千里が語るコロナ後のニューヨーク、生と死がリ…
  • 8
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ル…
  • 9
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 10
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中