英国コンテナ39人遺体 日本で働いたベトナム女性は家族のため再び異国へ渡り亡くなった
ママ、ごめんなさい。私の海外渡航は失敗する......
トゥラ・マイさんは中国から欧州に向かう際、不法な密入国のために8億9200万ベトナム・ドン(約3万ポンド)を支払わなければならなかったという。
ベトナムの家族にトゥラ・マイさんから入った連絡はベルギーからで、10月22日午前7時22分(ベルギー時間)に「これからコンテナに入る、探知されないために携帯電話をオフにしなければならない」という内容だったという。それが直接会話をした最後になったと家族は話している。
その後、トゥラ・マイさんから母親に携帯電話のショートメッセージが送られてきたが、そこには「ママ、ごめんなさい。私の海外渡航は失敗する。死にそう。息ができない」という内容で、これを最後に連絡が途絶えた。
娘からのSOSを受け取った母親は、すぐに海外渡航業者に連絡を取り、業者が現地の業者を通じてトラックの運転手になんとか連絡をつけた。しかし、運転手が停車してコンテナを開けた時にはすでにコンテナ内の39人全員は死亡していたという。
日本でも3年間働いたことがあるトゥラ・マイ
家族の話しによるとトゥラ・マイさんは身長1メートル50センチ、体重46キロと小柄で3人兄弟の末っ子。以前にも家計のために大学を中退し、日本で3年間就労した経験があったという。9月によりよい仕事を探すために英国渡航を決意、中国に渡ってイギリスに向かう書類を準備していたという。
トゥラ・マイさんらが利用したベトナムの業者(人身売買業者)によると、欧州での仕事を希望するベトナム人はまず中国に行き、偽造の中国旅券などの必要書類を用意。その後ベルギーに渡航し、そこから大型トラックのコンテナで英国に密入国するルートが一般的という。
コンテナは国境での荷物検査を逃れるため冷凍コンテナとして登録され、実際の検査があるときには検査官の目を逃れるためにコンテナ内の温度をマイナス25度まで下げるという。国境での検査中という短時間とはいえ、マイナス25度のコンテナ内では死亡する事例も多いという。