最新記事

皇室

日本の皇室の命運は、13歳少年の肩にかかる

2019年10月24日(木)16時40分

新天皇の即位から約3カ月たった8月、日本の皇室で最も若い13歳の悠仁さまが初の海外訪問としてブータンを訪れた際、未来の天皇による世界の表舞台へのデビューと受け止められた。写真は中学校の入学式前に親子3人で写真を撮る悠仁さま。4月8日、東京で撮影(2019年 ロイター/Koji Sasahara/Pool)

新天皇の即位から約3カ月たった8月、日本の皇室で最も若い13歳の悠仁さまが初の海外訪問としてブータンを訪れた際、未来の天皇による世界の表舞台へのデビューと受け止められた。

羽織袴姿でブータン国王を表敬し、伝統の弓矢も体験した悠仁さまの訪問は、日本の皇室の未来を背負った少年が公の場に出てくる、珍しい機会の1つとなった。

悠仁さまの伯父である新天皇の徳仁さま(59)は、父・明仁上皇の天皇退位に伴って5月1日に即位し、10月22日内外の代表を招いた「即位礼正殿の儀」で内外に即位を宣言した。

議論は棚上げ

皇室典範は、男系男子にのみ皇位継承を認めている。この改正には、安倍晋三首相の支持基盤である保守層の強い反対がある。

悠仁さまは、同世代でただ一人の男性皇族で、父の秋篠宮さま(53)に次ぐ皇位継承順位2位にある。

朝日新聞は5月、「今のままでは、秋篠宮家の長男悠仁さまが伴侶選びを含めて、皇室の存続を一身に背負わされることになる。その重圧はあまりに大きい」と社説で指摘した。

2006年の悠仁さま誕生は、男系男子による皇位継承を守りたい日本の保守層から奇跡とみなされた。

1965年以降、皇室では男子の誕生がない。皇后の雅子さまは、結婚からおよそ8年で第一子の愛子さまを出産。女性の皇位継承を可能にするため、皇室典範の改正に向けた議論が動き出そうとしていた。

悠仁さま誕生により、その議論は棚上げとなった。

慶応義塾大学の笠原英彦教授は、「(保守層の)研究者も神社関係者もこれは天の啓示だととらえた」と言う。

皇室の役割と皇位継承

ここ最近、専門家やメディアから、悠仁さまが将来に備えて適切な教育を受けているか疑問視する見方が出ている。

「国民と触れ合い、幼いときから国民の考えに接する中で、自分が将来即位する立場であることを自覚していただくことが重要だ」と、笠原教授は言う。

第2次世界大戦後に制定された現行憲法では、天皇に政治的権限はなく、「日本国および日本国民統合の象徴」と位置付けられている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏

ビジネス

金、3100ドルの大台突破 四半期上昇幅は86年以

ビジネス

NY外為市場・午前=円が対ドルで上昇、相互関税発表

ビジネス

ヘッジファンド、米関税懸念でハイテク株に売り=ゴー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中