最新記事

「未来のための金曜日」

「気候変動が続くなら子どもは生まない」と抗議し始めた若者たち

Hundreds of Young People Pledge Not to Have Children for the Environment

2019年9月20日(金)16時30分
ロージー・マコール

9月18日、米最高裁の前で仲間とセルフィ―を撮る16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリ(左から2人目)。若者主体の環境抗議活動「未来のための金曜日」を世界に広げたのもトゥーンベリだ

<今日は世界中の若者が環境問題を訴える「未来のための金曜日」。そのなかに、子どもの安全を守れないような地球になるなら、いっそ子どもは持たないという主張が加わった>

ニューヨークの国連本部では9月23日、気候変動とその対策について話し合う国連気候行動サミットが開催される。これに合わせて、世界各地で大勢の若者がバース(出産)・ストライキを計画している。9月19日時点で1000人近い若者が、「安全な未来がなければ子どもは持たない」というこの運動に賛同している。

オンラインメディアのバイスによれば、この「#NoFutureNoChildren(未来がないなら子どもは持たない)運動」は9月16日にカナダ在住のエマ・リム(18)が立ち上げた。彼女は運動のウェブサイトに、2018年にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表した報告書を読んで恐怖を感じたと書いている。地球の温暖化を産業革命以前の水準から1.5度に抑えなければ、深刻な危険がもたらされると警告する内容だった。

<参考記事>肉食を減らそう......地球温暖化を抑えるために私たちができること

子どもを苦しめたくない

リムは同サイトに「温暖化の脅威を身近で目の当たりにしてきた」と書いている。100年に一度の大洪水や熱波、冬に池が凍らないためにスケートができないなどの例を挙げた。気候変動の影響は今後悪化の一途をたどると予想されており、今のままだと生態系が衰退し、淡水が不足し、大気汚染が悪化するなどと言われている。

<参考記事>ホッキョクグマ50頭が村を襲撃、非常事態を発令

「子どもを守ってあげられる確証がなければ産めないから、私は家族を持つことを諦めるつもり。とてもつらいけど」と彼女は書く。「そう考えているのは私だけではないという確信があったから、ここに誓約の場を立ち上げた」

多くの人が彼女の考えに賛同し、誓いを立てた。理由はさまざまだ。

バンクーバー在住のミシェル・シーは、山火事や大気汚染の悪化によって、子どもたちが喘息など呼吸器系の問題を抱えることになると主張している。

オンタリオ在住のジェイコブ・ビルディーは、世界銀行が2018年の報告書の中で、気候変動の影響で2050年までに1億4000万人以上が移住を迫られることになるとしたことが理由だったと言う。2015年にヨーロッパが経験した移民危機以上の大移動が起こったら、影響は計り知れないと彼は言う。2015年の移民危機は、ヨーロッパ各地で極右政党の躍進を招いた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナに強力かつ信頼できる安全保証を、G7外相

ワールド

米民主上院トップ、つなぎ予算案賛成へ 政府閉鎖回避

ワールド

プーチン氏、米停戦案に条件 原則支持も「紛争の根本

ワールド

商品券配布、法的な問題ない=石破首相
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 5
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 6
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 7
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 8
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 9
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 10
    「トランプの資産も安全ではない」トランプが所有す…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 10
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中