韓国・文在寅大統領が最低を更新した、もう1つの支持率
チョ長官の起用・指名及び任命に対する世論の動向
ところが任命前後からチョの親族に対するスキャンダルに進展があると、チョの任命に対する支持率がにわかにぐらつきはじめた。9月6日に妻が私文書偽造で在宅起訴されると、16日には娘がソウル中央地検から任意で事情聴取を受けた。さらに同日にはチョの一族が出資するファンドを経営する親族が横領と背任容疑で逮捕された。
こうしたスキャンダルを受けて実施された世論調査で、どうやら市民らはチョの任命に対して本格的なNOを突き付けたようだ。任命に対する支持率35.3%と「最低」を更新、不支持率も「過去最大」の55.5%に達した。
自身の支持率でも過去最低を記録した文にとってはダブルパンチとなる結果だ。それでも文が野望の1つに掲げる検察改革が達成できれば名誉の負傷といえるかもしれない。文は歴代の革新政権に対して抵抗を続けてきた「検察の民主化」を実現しようと躍起で、チョの任命はその重要な一歩だった。
実はチョの指名をめぐる動きの中でも、文政権と検察の間で激しいせめぎ合いが起きていた。チョの指名をめぐって発覚した親族らの疑惑についての検察の捜査に、政権内部と一部世論から行き過ぎた捜査ではないかとの懸念が示されていた。チョの指名支持から検察の捜査姿勢に争点を切り替える動きに見えなくもなかったが、文にしてみれば検察の横暴ぶりを世論に訴えて支持回復を狙ったのかもしれない。
しかし文政権はここでも「敗北」していた。リアルメーター社は9月初旬に「チョ・グク法務部長官候補者の検察捜査に対する国民世論」調査を発表。検察の捜査はやり過ぎなのか、それとも妥当かを問う内容だった。
結果は、「原則に則った適切な捜査」が52.4%と、「検察改革を防ぐための(検察による)組織的抵抗」の39.5%を大きく上回った。さらに9月11日に発表された別の世論調査結果では、「チョ・グク氏の検察改革は成功するか失敗するか」の問いに対して「失敗する」が46.6%、「成功する」が45.0%となった。政権としては「拮抗している」と前向きに捉えたい結果かもしれないが、チョの指名に対する支持がこれまで一度も過半数を超えていないことと併せて厳しい現実を突きつけられているというのが実態かもしれない。
検察改革を掲げる文の試練は始まったばかりだが、少なくとも出鼻は大きくくじかれているようだ。
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