最新記事

タトゥー

思い出として死者のタトゥーを残しませんか

Ohio Morticians Are Preserving Tattoos Of The Deceased

2019年9月12日(木)15時05分
K・ソア・ジェンセン

死者から蘇ったタトゥー SAVE MY INK FOREVER

<大切な人を亡くした遺族が望めば、遺体のタトゥーを皮膚とともに切り取り、額に入れていつまでも飾っておけるように加工するビジネスがある>

遺体のタトゥーを皮膚ごと切り取って保存用に加工し、思い出の品に生まれ変わらせるビジネスがアメリカにある。

オハイオ州のマイケル・シャーウッドと息子のカイルが2006年に立ち上げた「セーブ・マイ・インク・フォーエバー」だ。カイルがオーストラリアのナインニュースに語ったところによれば、きっかけはマイケルが友人から「自分が死んだ後、タトゥーを保存したい」と言われたこと。

「タトゥーは立派なアートだし、思いも込もっている。だったら死後も保存しても構わないじゃないか」と、その友人は言った。「遺灰を骨壺に入れたり、大切な人の名前を墓石に刻んだりするのと同じことだ」

<参考記事>アリアナのタトゥー炎上と日本人の「不寛容」

シャーウッド親子はその後、切り取った皮膚を生きたままのような状態で保存する方法を調べ始めた。3~4カ月かかる場合もあるというその工程を、2人は明かそうとはしない。加工賃はタトゥーの大きさにもよるが、英インディペンデント紙によれば1500ドル程度が一般的だという。

ランプシェードにするのはお断り

遺族がタトゥーの保存加工を希望する場合、葬儀場からシャーウッド親子に連絡がくることになっている。加工を終えた皮膚は、タトゥーの鮮やかな色と図柄はそのままにシリコン加工された平らな紙のような質感になる。「作品」は、額装されて遺族の元に届けられる。

<参考記事>タトゥーの色変化で健康状態をモニタリングする「究極のウェアラブル」をMITが開発

シャーウッド親子は、これまでに遺体のさまざまな部分にあるタトゥーの保存加工を行ってきた。二の腕から背中まで背面を大きく切り取った見事な作品も幾つかある。

額縁に入った故人のタトゥーと遺族 Daily Mail


だが顔や性器のタトゥーはサービス対象外。故人のタトゥーでブックカバーやランプシェードを作って欲しい、という依頼も断っている。「遺族の最後の望みを叶えるのが僕らの仕事だ」とカイルはワシントン・ポスト紙に語った。「遺体の一部を見世物にすることじゃない」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 7
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中