香港デモ、進化系ゲリラ戦術の内側
Hong Kong Protesters’ “Tenacious”Tactics
分散型の運動になり、頭の息の根を止めるやり方が通用しなくなったため、警察は苦肉の策として、雨傘革命の指導者たちを再び逮捕することで、デモの勢いを削ごうとした。
雨傘革命の指導者の1人で、民主化運動の活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)も逮捕され、保釈金を払って釈放された。「逃亡犯条例改正案への抗議デモの指導者として」、警察が自分たち民主化運動の活動家に罪を着せるのは「ばかげている」と、黄は釈放時に語った。
実際、香港当局はこれまでと勝手が違う運動に狼狽しているようにも見える。「抗議デモの粘り強さ、融通無碍な適応力は、想定外だったようだ」と、デリールは言う。
「新たな戦術に手を焼き、時にはパニックに駆られて暴力に走るありさまだ。香港警察は優秀なことで知られていたのに、これでは名折れもいいところだ」
デモが長引くにつれて、警官たちはますます暴力的になっていった。唐辛子スプレー、警棒攻撃、催涙ガス、放水銃、ゴム弾などの威力がデモ隊相手に次々と試された。
デモ隊は、あっという間にそれらに対する対抗策を編み出した。たとえば警察が群衆を散らすためによく使う催涙ガス。
暴力も使い分け
デモ隊は「火消し」と呼ばれる少人数のグループを作り、前線のすぐ後ろで待機させる。催涙弾が飛んできて地面に落ちると、「火消し」の1人は前に飛び出し、用意していた交通規制用のコーンを上からかぶせて煙を閉じ込める。次に2人目がコーンのてっぺんの穴から水を注ぎ入れ、催涙弾を水浸しにする、という具合だ。
Truly awesome the way Hong Kongers deal with tear gas.#antiELAB #HongKongProtests#BeWater pic.twitter.com/ptWL4nKHn4
— Alex Hofford (@alexhofford) July 28, 2019
こうした活動から生まれたのがいわゆる「前線部隊」だ。警察の攻撃をしのぎ、デモ隊を守るため、急ごしらえの「武器」で武装した若者たちだ。火炎瓶を投げるにしろ、バリケードを築くにせよ、顔認識カメラを破壊するにせよ、いつも彼らが先鋒を務める。
「彼らは暴力に訴えているにもかかわらず、デモ支持者の称賛を受けやすい」と、ヨーは言う。「同時に、警察や政府支持者からは不法行為で批判される」
彼らこそ、香港や中国当局がテロリスト呼ばわりをする反乱分子だ。
「これまでのなりゆきを考えると、暴力が増しているのは驚くにあたらない」と、テリールは言う。「デモ隊の焦りと体制の頑なさが、対立をエスカレートさせている。だが特筆すべきは、それでもデモが全体として平和的に収まっていることだ」
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