アマゾン火災で世界が批判するブラジル大統領、国内では6割が支持の理由は?
経済的な影響は
火災が最も激しいパラ州のエルデル・バルバーリョ知事はロイターに、1月に就任したボルソナロ氏が直面している最大の問題は、これまで国内経済に景気回復の兆しがまったく見えないことだと指摘した。今やアマゾンの危機によってブラジルのイメージが損なわれ、経済に跳ね返る恐れがあるという。
知事は「国際市場がブラジルの農産品に門戸を閉ざせば、景気シナリオはもっと深刻になるだろう」と述べた。
既に一部の国は、ボルソナロ氏の環境政策を理由に制裁をちらつかせており、消費者らがブラジル産牛肉は買わないと決心する可能性もある。
キャピタル・ポリティコのバレット氏によると、これは当初からボルソナロ氏の支持基盤だった農業関係の有権者に直接影響する。
森林火災やボルソナロ氏の環境政策への世界的な批判は、投資家にも影響を与えるかもしれない。
「ティンバーランド」などの衣料品や靴のブランドを展開する米VFコープは29日、環境問題への懸念を理由にブラジル産皮革の購入をとりやめると発表した。
バラル氏によると、欧州などの企業は株主から、環境保護で重要な地域であるブラジルの鉱業セクターなどへの投資を停止するよう、圧力を受ける可能性もある。
カティア・アブレウ元農業相は、農業分野でブラジルと競合する国々が環境問題を口実にブラジルを批判するのではないかと危惧している。そうなれば国民の間で反ボルソナロ氏感情が高まるとアブレウ氏はみる。
ただ「それでもボルソナル氏は危機回避の方法について誰からの助言も聞き入れない。聞く耳を持たないし、予測不可能な人物だ」と語った。
(Anthony Boadle記者)
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