アメリカが逃れられない9.11のトラウマ
We Still Can’t Move Past 9/11 Politics
この先、事態はどう動くのか。トランプがタカ派の側近を次々と更迭していることから考えると、彼はアフガニスタンとシリアからの米軍撤退という公約を本当に実現させるかもしれない。
あるいは新しい民主党の大統領が、対テロ戦争の名の下に過去20年にわたって維持されてきた法律と無期限の軍事的関与についに終止符を打つのだろうか。2024年の大統領選が「ポスト『ポスト9.11』」時代初の選挙と位置付けられる可能性もある。
だが今は、テロの頻度が減っているにもかかわらず、アメリカ国民は過去18年にわたって維持されてきた恒久的な対テロ体制になじみ切っているようだ。あまりに日常に溶け込んでいるから、そうした体制を意識しなくなる日も近いかもしれない。
ポスト9.11時代に本当の終わりが来るのは、いつなのか。
©2019 The Slate Group
<本誌2019年9月24日号掲載>
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※9月24日号(9月18日発売)は、「日本と韓国:悪いのはどちらか」特集。終わりなき争いを続ける日本と韓国――。コロンビア大学のキャロル・グラック教授(歴史学)が過去を政治の道具にする「記憶の政治」の愚を論じ、日本で生まれ育った元「朝鮮」籍の映画監督、ヤン ヨンヒは「私にとって韓国は長年『最も遠い国』だった」と題するルポを寄稿。泥沼の関係に陥った本当の原因とその「出口」を考える特集です。