最新記事

中国

中国建国70年目の国慶節、香港デモで緊張も

2019年9月30日(月)09時45分

中国は今年の国慶節の10月1日に建国70年を祝う大規模な軍事パレードを予定している。写真は観光バスから見た天安門。9月16日、北京で撮影(2019年 ロイター/Tingshu Wang)

中国は今年の国慶節の10月1日に建国70年を祝う大規模な軍事パレードを予定している。同国にとって今年最も重要な催しだが、この日は大規模デモで揺れる香港も祝日に当たり、特に緊張をはらんでいる

中国政府は予行演習のために北京の一部を閉鎖するなど万全の警備を敷いている。建国70年の意味と、式典等の内容についてまとめた。

◎内戦からの再出発

毛沢東は内戦の末に1949年10月1日、天安門広場で中華人民共和国の建国を宣言した。蒋介石率いる国民党側との内戦では数百万人が死亡した。

蒋介石と中華民国の残存勢力は同年12月に台湾に逃れた。

毛沢東はその後、旧ソ連の助けを得て壮大な国家再建計画に乗り出した。中国は西側世界からほぼ孤立し、特に米国は蒋介石との関係を維持して台湾を法的な中国政府と認めた。

中国は70年代後半から着手した改革開放により孤立状態を脱し、今では世界第2位の経済大国となった。

習主席は国の刷新を政権の主題に据えており、中国を尊敬され、富裕な国際社会の一員としたい考えだ。

しかし多くの西側政治家などからは、新疆ウイグル自治区で約100万人のウイグル族を拘束するなど、弾圧で人権を犠牲にする政策だと批判されている。

◎神経質な記念日

中国の記念日はどれも神経質なものであり、共産党が熱心に言説を統制し、批判的な声によって雰囲気が損なわれることを許さない。

今年の国慶節は特に緊張をはらんでいる。10月1日は、大規模デモで揺れる香港も祝日に当たるからだ。

香港でこの日に何が起こるかは分からないが、中国共産党は香港の抗議活動ではなく、北京における整然とした軍事パレードと、踊って祝う市民の映像が世界に流れることを望むだろう。

◎10月1日

この日の目玉は北京中心部の軍事パレード。習主席は閲兵し、演説も行う。

軍は新兵器を誇示するだろう。中国国営メディアによると、核弾頭を複数搭載でき米本土に届くとされる大陸間弾道ミサイル(ICBM)「DF(東風)41」や、超音速ドローン、戦闘機、戦車などが含まれる見通し。

中国は外国首脳を招待していないが、北京駐在大使らは出席の予定。江沢民氏など引退した中国指導者らも演壇で習氏と同席する見通しだ。

一般市民は式典への出席が許されず、北京は封鎖される。共産党は政府への忠誠心や信頼性を調査し、広場で式典を見る聴衆やパレードに文民として出席する人々を選定するだろう。

1日からの1週間は連休となる。これは年2回の「黄金週間」の1つで、国内の観光地や海外に旅行客が押し寄せる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ大統領、イラン最高指導者との会談に前向き 

ワールド

EXCLUSIVE-ウクライナ和平案、米と欧州に溝

ビジネス

豊田織機が株式非公開化を検討、創業家が買収提案も=

ワールド

クリミアは「ロシアにとどまる」、トランプ氏が米誌に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 4
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 8
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 9
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中