どうする「一帯一路」香港サミット2019
香港で開催できないのはほぼ明らかなので、必ず開催場所を大陸のどこかの都市に移して開催するのではないか、だとすればその都市とは、ひょっとしたら「深セン」ではないのか──。
もしかしたら、このために8月9日になって中共中央・国務院は「意見」をまとめ、そして8月18日になって、ようやく新華社が公表したのではないのか。なぜならこの中共中央・国務院発布から新華社発表までに少し時間があり過ぎるのだ。この動き方も引っかかってはいた。おそらく香港情勢を見ながら、発表時期とニュアンスを調整していたものと推測される。
こう解釈すれば、一国二制度を「粤港澳大湾区」全体として推進するという意味合いも理解できるし、また「深セン」を中心とするという「深セン」に焦点を当てた狙いも理解できる。
特にここのところ中国の中央テレビ局CCTVが「深セン」をモデル地区として伝えるときの伝え方のトーンが、何とも「?」と違和感を抱かせるのである。強調し過ぎなのだ。「粤港澳大湾区」開発を伝える時にも力が入り過ぎている。
未来予測は、当たらなかった場合は怖いので、あまり考えたくはないが、少なくとも以下のことは言えるのではないだろうか。
●「一帯一路」香港サミット2019は、香港では開催しない。
●「一帯一路」香港サミット2019開催を中止するかと言ったら、中止はしない。
●ではどうするかと言ったら、他の都市に移して開催するだろうと推測される。
●その都市はどこかと考えた時に、「深セン」が有力候補として考えられる。
ここまでなら言える。
以上だ。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。