最新記事

米軍事

米空母で自殺が流行?1週間で3人、7月から4人

Three US Navy Sailors Commit Suicide Within One Week

2019年9月26日(木)14時38分
ケビン・ビリングズ

乗組員の自殺が相次ぐ米空母ジョージ・H・W・ブッシュ Hannah McKay-REUTERS

<空母ジョージ・H・W・ブッシュで兵士の自殺が相次ぎ、海軍の自殺率増加が問題に>

同じ空母に乗り組む米海軍の兵士3人が1週間足らずの間に相次いで自殺し、海軍における自殺率の増加に注目が集まっている。

9月14日と19日に自殺した3人の兵士の遺体が、いずれも基地外で発見されたと、米海軍専門誌ネイビー・タイムズが第一報を伝えた。3人は現在バージニア州沖に停泊中の空母ジョージ・H・W・ブッシュの乗組員で、自殺はそれぞれ別個に行われた。

海軍の報道官ジェニファー・クラッグ中佐によると、まず航空武器整備一等航海士の遺体が9月14日に見つかった。次いで19日に主任電子・核技能兵と飛行士がやはり遺体で発見された。

7月16日に自殺したもう一人の乗組員を加えると4人目で、同艦では自殺が「流行」しているのではないかという憶測も流れているが、クラッグはこれを否定する。少なくとも9月に死んだ3人は同じ部門に配属されたことはなく、それぞれの死の関連性を示す証拠はないという。

<参考記事>米海軍の潜水艦で女性乗組員の「レイプリスト」、艦長は解任

空母ジョージ・H・W・ブッシュの司令官であるショーン・ベイリー艦長がこれらの自殺についてフェイスブックに投稿したが、現在は削除されている。

海軍では自殺が急増

クラッグによれば、これでこの空母に乗り組む兵士の自殺は、過去2年間で5人になった。兵士の心理的動揺に対処するため、心理療法専門の即時対応チームが派遣されたという。

「1人の乗組員として、また仲間として、彼らは3人の死を深く悼んでいる。互いに支え合い、慰めが必要な仲間に手を差し伸べている」と、クラッグはネイビー・タイムズに寄せた声明で述べている。

<参考記事>米軍の新兵器は「サイボーグ兵士」、DARPAが開発中

米海軍では2016年以降、男女の兵士の自殺が急増。自殺率は2006年の2倍以上に上っている。

今年に入ってもこの傾向は続き、1月1日から9月5日までに現役の兵士と予備兵を合わせて50件の自殺が確認されている。

米国防総省によれば、米軍全体では現在、年間に10万人当たり、20.1人の自殺者が出ている。

20191001issue_cover200.jpg
※10月1日号(9月25日発売)は、「2020 サバイバル日本戦略」特集。トランプ、プーチン、習近平、文在寅、金正恩......。世界は悪意と謀略だらけ。「カモネギ」日本が、仁義なき国際社会を生き抜くために知っておくべき7つのトリセツを提案する国際情勢特集です。河東哲夫(外交アナリスト)、シーラ・スミス(米外交問題評議会・日本研究員)、阿南友亮(東北大学法学研究科教授)、宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)らが寄稿。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:米テキサス州はしかで死者、ワクチン懐疑派

ワールド

アングル:中国、消費拡大には構造改革が必須 全人代

ワールド

再送米ウクライナ首脳会談決裂、激しい口論 鉱物協定

ワールド

〔情報BOX〕米ウクライナ首脳衝突、欧州首脳らの反
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:破壊王マスク
特集:破壊王マスク
2025年3月 4日号(2/26発売)

「政府効率化省」トップとして米政府機関に大ナタ。イーロン・マスクは救世主か、破壊神か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 3
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身のテック人材が流出、連名で抗議の辞職
  • 4
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 5
    米ロ連携の「ゼレンスキーおろし」をウクライナ議会…
  • 6
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 7
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 8
    日本の大学「中国人急増」の、日本人が知らない深刻…
  • 9
    【クイズ】アメリカで2番目に「人口が多い」都市はど…
  • 10
    「売れる車がない」日産は鴻海の傘下に? ホンダも今…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 3
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 4
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 5
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
  • 6
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 7
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 8
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中