最新記事

香港デモ

香港デモ、謎のサイトが破壊行為の犯人の「首」に賞金

Hong Kong Protests: Cash Bounties Are Being Offered to Identify Activists

2019年8月28日(水)18時45分
デービッド・ブレナン

梁振英(リアン・チェンイン)香港特別行政区行政長官は、フェイスブックで803.hkウェブサイトをシェアし、香港の住民にこの運動を広めるよう促した。


親中派の梁は、12年から17年まで香港の行政長官を務め、14年の民主化を求める香港反政府デモ(雨傘運動)のときに行政府を統括していた。彼は以前、8月3日に中国の国旗を港に投げ捨てた活動家を特定できる人に100万香港ドルの報酬を支払うことを申し出ていた。

現在の反政府運動は、刑事事件の容疑者を香港から中国大陸に引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する運動として、今年3月に始まった。

条例改正反対派が恐れているのは、改正案の成立によって中国政府が香港の反政府活動家の引き渡しを求められるようになり、1997年に香港がイギリスから中国に返還されて以来継続している「一国二制度」の枠組みが形骸化することだ。この制度のもとで香港では、中国本土よりも、政治的および個人的な自由が保障されてきた。

<参考記事>香港「逃亡犯条例」改正反対デモ──香港の「遺伝子改造」への抵抗

香港の反政府デモは連続12週間に及び、国際的に注目を集めている。デモ隊の要求に沿って逃亡犯条例改正案を棚上げしたにもかかわらず、林鄭月娥(リンチョン・ユェオー)行政長官率いる香港政府は、事態を鎮静化できていない。中国政府が治安部隊を出動させてデモを鎮圧し、秩序の回復を図ろうとするのではないか、という緊張感も漂うなか、まずは密告を奨励してみようということか。

(翻訳:栗原紀子)

20190903issue_cover200.jpg
※9月3日号(8月27日発売)は、「中国 電脳攻撃」特集。台湾、香港、チベット......。サイバー空間を思いのままに操り、各地で選挙干渉や情報操作を繰り返す中国。SNSを使った攻撃の手口とは? 次に狙われる標的はどこか? そして、急成長する中国の民間軍事会社とは?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中