セクハラ撲滅を阻む新たな問題、「怯える男たち」と「見えない逆襲」
女性の部下を避ける男性管理職たち
さらに今年初め、世界経済フォーラム(ダボス会議)に参加した男性の経営者たちを対象にLean In Instituteなどが行った調査では、性的な不品行のリスクを減少させる解決策として彼らの多くが採用しているのは、実効性のある制度改革ではないことが明らかになった。彼らが採用した方法は、単に「男性の幹部が女性従業員と関わる機会を最小限にする」ことだ。
ニューヨークタイムズ紙の「#MeTooもう1つの側面:女性への指導を恐れる男性管理職たち」と題された記事では、金融機関のアメリカ人幹部が匿名で次のように証言している。「若い女性の同僚と2人きりになるのはためらう」
男女で2人きりになるのを不安に思う男性は彼だけではない。調査によれば、男性管理職の約半分は女性と共同で作業することに、60%は女性の部下を指導することに居心地の悪さを感じているという。相手が女性だからという理由で、業務において意図的に部下を遠ざけるのは明らかに不適切な行為だ。
#MeToo運動によって何が変わったのか。性的に見られて嫌な思いをしたり、性的な行為を強要されたりする女性は減った。「成功だ! だが男性による(見えにくい形での)嫌がらせ行為を訴える女性の声や、女性への指導を嫌がる男性の声は増えている」と、本誌の取材に答えたジョンソンは指摘する。「男性たちの行動は、悪い方向に変化してしまったのかもしれない」
「女性たちによる権利拡大の運動に対する男性たちの反応が、女性たちを助けることではなく、嫌がらせや女性を卑しめる別の方法を探って抵抗するものだったという結果は驚きだ」
それでも、長年にわたって女性たちを苦しめ、社会における活躍を阻害してきたセクハラという悪習が許されないものと認識され、減りつつあるのはたしかだ。次の課題は、その反動として生じている「見えにくい」セクハラを、社会や企業がどうやって克服していくかになるだろう。
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