最新記事

サイエンス

6000万年前のペンギンは、身長が152センチもあった

New Ancient Giant Penguin Species Which Stood Over 5 Feet Tall Discovered

2019年8月15日(木)15時10分
アリストス・ジョージャウ

発見された新種のペンギンの身長はヒトの成人の背丈ほどもあった Canterbury Museum

<ドイツの研究チームが現在までに存在したペンギンのうち最大級の新種が約6000万前に生息していたことを発見>

今から約6600~5600万年前の「暁新世」の時代に、現在のニュージーランドで生息していたと見られる巨大ペンギンの新種が発見された。

ドイツ・フランクフルトにあるゼンケンバーグ自然史博物館の古生物学者ジェラルド・マイヤーが率いる研究チームは、この新種のペンギンの身長が約152センチとヒトの成人ほどもあり、体重は約80キロあったと推定している。今回の研究は、オーストラリアの古生物学の専門誌「アルチェリンガ」のサイトで発表された。

この新種ペンギンは、これまでに存在したどのペンギンよりも大きな種で、現在も生息する身長120センチ前後のコウテイペンギンより遥かに大きいことになる。

新種ペンギンの痕跡は、2018年にアマチュア古生物学者のリー・ラブが、ニュージーランド南島のノース・カンタベリーで発見した。

ラブが発見したのは1つの個体の脚の骨と、翼の骨と見られる幾つかの骨の化石で、これらの化石を調べたマイヤーら研究チームが新種ペンギンと特定した。

ペンギンの進化と寒冷気候は無関係

マイヤーは本誌の取材に対して「脚の骨から新種のペンギンの全体像を再構築するのは当然ながら困難な作業だった。しかし暁新世の他のペンギンが現在のペンギンより長いくちばしを持っているので、新種もまた長いくちばしを持っていると推測した」と、話している。当時のペンギンのくちばしが長いのは、主に魚を食べていたためと考えられている。

さらに「この時代のペンギンは、亜熱帯性気候に生息していた。南極大陸が氷河に覆われるのはそれから約2000万年後で、ペンギンの進化は寒冷な気候とは直接は関係していない」とマイヤーは話している。

巨大ペンギンはニュージーランドに特有のものではなく、暁新世の南極大陸でも生息していたと見られている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 7
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中