最新記事

エンターテインメント

吉本・ジャニーズの激震が示すエンタメ界の危機 芸能事務所とテレビ局は共同体のままでいいのか

2019年7月26日(金)15時45分
吉川 圭三(KADOKAWAコンテンツプロデューサー) ※東洋経済オンラインより転載

ジャニーズのタレントは歌番組やバラエティーのみならず、朝から夜までニュースや情報番組にも出演している Kim Kyung Hoon-REUTERS

平成から令和になり、初めての梅雨と夏を迎えた。しかし、それはエンターテインメント界にあっては異常な季節だった。

ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏の訃報が流れたのが7月9日。まるでそれを待っていたかのように、7月17日に「元SMAPメンバーである稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の民放テレビ局出演に対する圧力の疑いで公正取引委員会がジャニーズ事務所を注意した」とのニュースをNHKが報じた。

ジャニーズは「圧力などをかけた事実はなく」と釈明したが、東洋経済オンライン編集部が事情をよく知る関係者に取材したところ、公正取引委員会が将来に向けての違反行為につながる恐れがあるとして、未然に防止するために本件でジャニーズ事務所を注意したのは間違いなく事実だ。

そして、7月20日には、雨上がり決死隊の宮迫博之と、ロンドンブーツ1号2号の田村亮が会見を開き、反社会勢力の会合に出席したことや、当初、嘘をついていたことなどを謝罪。これを受けて7月22日に2人の所属事務所である吉本興業の岡本昭彦社長が会見を開いた。

この2つの激震を垣間見て、何だか芸能の世界の"均衡"が破られた気がした。

大物芸人ですら闇社会の密接な接触は許されない

闇社会と芸能界のつながりは、この「芸能と興行」というなりわいがはじまった江戸時代頃に始まったと岩波現代文庫の小沢昭一著の『私は河原乞食・考』にもあるし、世界中にこうした事例が見られる。小沢氏によると「(テキヤも芸能者も)同じ体制の『病理』が生んだアウトローなのだ」と闇稼業も芸能者も根っこは一緒としている。

ただ、時代が変わった。かつて吉本興業で起こった有名な事案は、島田紳助と暴力団との関係であった。これは島田本人との個人的なつながりであったため本人解雇で吉本は直接的には被害を受けなかった。今の社会と法律は、島田紳助のような大物芸人ですら闇社会との密接な接触は許さない。

そして、今回の吉本興業所属タレントをめぐる一件だ。6月7日発売の写真週刊誌『FRIDAY』の記事掲載から、岡本社長が7月22日に公の場に姿を見せるまで、吉本側からは文面による発表以外は、何の記者会見も開かれてこなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中