香港デモ弾圧はイギリス人幹部が主導していた!
イギリスから「逆輸入」
専門家によれば、香港警察の手法は「武力と殺傷力のある兵器、広範囲の攻撃とデモ参加者の拘束を駆使」し、弾圧的な法律と夜間外出禁止令も組み合わせる。画期的なテクニックは現在世界中で広く用いられている。その1つが催涙ガスと盾を使ってデモ隊を狭い地域に閉じ込める「ケトリング(包囲)」で、香港警察に新設された機動部隊が1967年に試験的に使ったのが最初だった。
香港警察幹部はイギリス警察に対し、デモ参加者の拘束、催涙ガス発射、群集威圧といった任務に特化した専門の「暴動鎮圧部隊」を新設することも助言。10週間の訓練プログラムを開始してケトリング、催涙ガスの使用、群集威圧などのテクニックを指導し、イギリス警察の市民暴動対応力の急速な向上を図るよう提案。イギリス警察は1984~85年の炭鉱ストに対する暴力的な取り締まりでこれらのテクニックを見せつけた。
香港警察の手法がイギリスで成功した結果、ドーバーら新世代の警察官は香港赴任前からそうした訓練を積んでいた。そして35年後の今、香港警察は立法会ビル前の平和的で非武装のデモ隊を暴力的に取り締まった。
【参考記事】対警察、対小売店に「愛国者」まで 香港デモに終わりは見えない
6月12日の香港警察の取り締まりで最大の汚点は、民主派議員の胡志偉に向かって催涙弾を発射したことだ。非武装のデモ参加者を殴打した警官隊に、胡は丸腰で近づいていった。現場の映像には、明らかに現職議員と分かる胡に対して催涙弾を発射するよう部下に指示する白人警官の姿が映っている(ドーバーとは別の幹部と判明したが、ドーバーも同じ部隊にいたことが分かっている)。
自らの香港統治時代の暴力の遺産に対処するため、イギリスは行動を起こすべきだ。
<2019年7月30日号掲載>
※7月30日号(7月23日発売)は、「ファクトチェック文在寅」特集。日本が大嫌い? 学生運動上がりの頭でっかち? 日本に強硬な韓国世論が頼り? 日本と対峙して韓国経済を窮地に追い込むリベラル派大統領の知られざる経歴と思考回路に迫ります。