デモ終息見えぬ香港で警察の士気低下 中国本土の武装警察出動の可能性も
社会の安全と秩序が国際的に高く評価され、他国の治安当局との緊密な協力関係を含め、長年にわたって「アジアで最も優秀」な警察であることを誇っていたことを思えば、急激な変化と言える。
1960年代の左派による暴動、1970年代の組織的な腐敗に悩まされた時期を経て、香港警察のトップは訓練内容を改善し、プロとしての名誉を高めることに心血を注いできた。
中国の武装警察が出動か
野党・民主党のベテラン議員ジェームス・トー氏は、警察と市民の対立激化を深く憂慮していると話す。トー氏は、行政府の無能さの責任を「肩代わり」させられていることに、多くの警察官が怒りを感じている指摘。警察に対する市民の怒りが、かつて見られなかったレベルに達していることを危惧していると語る。
「非常に憂慮すべき事態だ。行政府が政治的に解決できなければ、警察に対して明確な指針を与えるべきだろう」と、トー氏は言う。
英国植民地時代に香港警察の幹部を務め、現在はリスクコンサルタントのスティーブ・ビッカース氏は、警察の士気の維持と改善が非常に重要だと指摘する。「もっと強硬な行動が必要となった場合に、『(現政権に)裏切られることはない』という確信を持つためだ」と、同氏は言う。
ビッカース氏は、警棒を振るうよりも安全に暴力的なグループを排除できるよう、政府は警察の催涙ガス使用基準を緩和すべきだと言う。「警棒を使ったり、身体的な接触を伴う衝突では、必ず重傷者が出る」
海外のセキュリティ問題専門家の間には、対立の激化が続き、香港警察が秩序の維持に苦慮するようになれば、中国政府が本土の人民武装警察部隊を派遣する可能性があると指摘する声がある。香港行政府、中国政府とも、香港に駐留する中国人民解放軍を出動させる意志はないが、暫定措置として人民武装警察の展開は考えられると、彼らは言う。
人民武装警察は、中央軍事委員会直轄の暴動鎮圧専門部隊で、中国メディアによれば、香港と境界を接する深センを拠点とする部隊があるという。
ロイターは中国国防省にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
民主党のトー議員は、人民武装警察の派遣は現段階では過剰反応であり、香港警察にとっても市民にとっても受け入れがたいと語る。
(翻訳:エァクレーレン)
[香港 ロイター]
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