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LGBTヒースロー空港が「同性愛は死刑」のブルネイに静かな圧力
Heathrow Puts Pride Ads Near Royal Brunei Check-In to Protest Anti-Gay Law
ポスターを披露するヒースロー空港のホランドケイCEO(左)とLGBTのエドワーズ上級副社長 Scott Nunn/GAY STAR NEWS/NEWSWEEK
<LGBTキャンペーンのポスターに登場するのは全員、LGBTの空港職員。イギリスを住みやすくしている多様性の価値観を世界に発信している>
イギリスのヒースロー国際空港はこのほど、性の多様性がテーマのポスターを、ロイヤルブルネイ航空のチェックインカウンター近くに掲示した。同性愛を刑事罰の対象とするブルネイに対する静かな抗議だ。今年4月、東南アジアのブルネイでは、同性間の性的関係に死刑を科すという新しい法律が制定され、国際的に大きな批判を集めた。
ポスターは、ヒースロー空港が以前から展開している「ウェルカム」キャンペーンの一環だ。ただし今回制作されたポスターに出てくるのはLGBT(性的少数者)の空港職員で、「ウェルカム」の文字は虹色だ。
ヒースロー空港のジョン・ホランドケイCEOは、ゲイ・スター・ニュースに対し、ロイヤルブルネイ航空のカウンター近くにポスターを掲示したのは「イギリスが大切にしている価値観を世界に訴える」ためだと述べた。
「世界各国からヒースローにやってくる旅行者は8000万人に上る。同性愛が違法とされていたり、時には死刑を科されるような国々から来る人々も多い。私たちは自らの価値観を世界に訴える必要がある」
ホランドケイは、ヒースロー空港であれば同性愛がいまだに違法とされる国々からの旅行者にもアピールすることができると述べた。
「こうしたキャンペーンができることをとても誇りに思う。他の国籍の人々と協力できるすばらしいチャンスだった。イギリスをこれほど住みやすい場所にしているリベラルな価値観を、世界と共有したい」
<参考記事>LGBTが多い住宅地の地価が高いのはなぜ?
外務省からも好意的な「問い合わせ」
ホランドケイはまた、イギリス政府からも支援があったことを明らかにした。
「外務省から、どこまでやるつもりか、という問い合わせが来た。だが、それは実はとても前向きな気持ちからの問い合わせだった」
6月28日、ニューヨークで行われるLGBTのイベント「ワールド・プライド」に参加する人々を運ぶヴァージンアトランティック航空の特別便がヒースロー空港を飛び立った。乗務員もすべてLGBTで、特別にドラアグ・クイーンのキャビンアテンダントもいた。
ロンドンでも7月上旬に同様のイベントが行われるのに合わせ、ヒースロー空港では虹色のカップケーキやピンバッジが配布されたり、合唱隊「ヒースロー・プライド」の歌が披露されたりもした。
ブルネイで同性愛者に石打ちによる死刑を科すことを定めた法律が導入されたのは2013年。猶予期間を経て2019年4月に施行されることになっていたが、国際社会からの批判が高まり、ブルネイ系のホテルや企業に対するボイコットへの呼びかけも行われるようになった。
5月になってブルネイのボルキア国王は、テレビ演説で、猶予期間を延長する意向を明らかにした。
国王はブルネイが近年、導入したシャリーア(イスラム法、同性愛への死刑の条項も含まれる)について「アラーの慈悲と祝福に満ちており、何の懸念もあってはならない」と述べた。また国王は、イギリスのコモンローに基づく従来からの法制度において20年以上にわたって同国は死刑執行を停止してきたことを指摘。「これは(シャリーアの)下でも適用される」と言明した。
(翻訳:村井裕美)
<参考記事>同性愛への寛容度でわかる日本の世代間分裂
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