ドイツ大政党を揺るがすユーチューバーの乱
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アンネグレート・クランプカレンバウアー党首は投票日後にツイッターで、選挙期間中はネット上で強い影響力を持つ人物の言論に一定のルールを導入すべきだと示唆した。「民主主義社会で言論の自由は宝石のような価値があるが、選挙の際に適用されるルールについて、私たちは話をしなければならない」
この声明は嘲笑の的になった。保守派の政治誌キケロの編集者は、CDU指導部はレゾがネット広告大手のシュトレアー・グループと提携している事実に言及するだけでよかったと指摘する。左派に加えて多くの中道派も、声明は時代に逆行しており愚かだと主張した。
メディア法に詳しい著名な弁護士ヨハネス・ウェバーリンクも、クランプカレンバウアーの対応を「ひどい」と評したが、一方でネット上の有名人の政治活動について議論する時期に来ているという点には同意する。
既存の法律は、ジャーナリストに真実の報道を要求しているが、ネットの有名人は野放しだ。新聞が特定候補を支持することはドイツでは合法だが、新聞の「意見」ははっきりそれと分かるようにしなければならない。
2大政党の不人気は深刻
だが「報道」と「意見」を厳格に区別することや、既成政党が積極的にSNSを活用することで、現在の混乱を沈静化できるとは思えない。「政党もジャーナリストも同じ問題を抱えている」と、調査報道に取り組むNPOコレクティブの代表オリバー・シュレームは言う。
コレクティブはヨーロッパの国境での税金詐欺の記事をネットで発表する際、人気コメディアンと協力してソーシャルメディアに記事を広めることに成功した。「若者が政治に無関心なのではない。私たちが彼らにリーチする方法を見いだせていない」と、シュレームは言う。
ドイツの2大政党は失敗の高いツケを払わされている。SPDのアンドレア・ナーレス党首は6月2日、選挙の不振の責任を取って辞任を表明。最新の世論調査では緑の党が史上初めて、2大政党を抜いてドイツで最も人気のある政党になった。