日本の不動産を買う韓国の資産家が増えている
景気の悪化が続いて不動産価格の上昇が鈍化し、海外に投資
韓国の投資家は企業と個人を問わず、キャピタルゲインを追い求めてきた。日本のマンションに相当する分譲アパートは、新築時に最も安く購入できる物件が多い。アパート開発業者は居住者が少ないエリアを選んで数百戸から数千戸規模で開発を行うことから生活施設が不足し、交通アクセスの不便な場所は珍しくない。分譲価格が低く設定される一方、開発が進んで入居者が増えると生活環境が改善され、不動産価格は上昇する。バス路線や地下鉄によるアクセスが向上した結果、数倍から10倍近くまで高騰した物件もある。
しかし、先行きが見えない景気の悪化が続いて不動産価格の上昇が鈍化し、値上がりを期待できない投資家はインカムにシフトすると同時に海外に投資する資産家も増えはじめた。
KEBハナ銀行の分析で、資産家の半分以上が国内経済は今後さらに後退すると考えており、緩やかに回復するとみる資産家は10%にすぎなかった。国内で財産を守ることは容易ではなく、むしろ目減りしかねないと資産家は考えているのだ。
不動産投資諮問会社に加えて、銀行も資産家の海外不動産投資を後押しする。事業地域が国内に限定される金融機関は、顧客の海外資産や海外に移住した顧客の資産管理には限界がある。
東京の不動産はソウルでは望むことができない利回り
一方、新韓銀行やKEBハナ銀行など、東京や大阪をはじめ世界の主要都市に店舗網を持っている。国内外に分散する資産の管理は、これら在外ネットワークを持つ銀行に集中する可能性が高く、資産家の囲い込みに繋がるのだ。
東京の不動産は4%から6%の賃料収益率が期待できる。物価上昇と景気悪化で空室率が高まったソウルでは望むことができない利回りと金融機関は説明する。青年就業率の悪化が続いて若い人材が海外に流出し、最低賃金の増額を嫌う企業の海外移転が進んでいる韓国で、資産の海外流出も加速している。