英国次期首相にボリス・ジョンソン、24日就任へ 「合意なき離脱」強硬に警戒の声も
ジョンソン氏は、離脱協定案の争点となっているアイルランドとの国境問題に関するバックストップ(安全策)条項の撤廃を目指している。
ジョンソン氏の勝利発表前、欧州委のティマーマンス筆頭副委員長は、EUが離脱協定案を変更することには同意しないと言明していた。
同氏は記者会見で「英国はEUと合意した。EUは合意を堅持する」とし、「最良の合意内容だ」と語った。ジョンソン氏の主張に耳を傾けるとしつつも、合意なき離脱は英国にとり最悪のシナリオと警鐘を鳴らした。
また、ホルムズ海峡での石油タンカーの拿捕(だほ)などで、英国との緊張が高まっているイランのザリフ外相もジョンソン氏に祝意を表明。「イランは対立を望んでいない」と強調した。
ジョンソン氏は米ニューヨーク生まれ。英国の名門イートン校卒業後、オックスフォード大学に進み、経営コンサルタントになったものの1週間で退職。その後ジャーナリズムの道に進み、英タイムズ紙に就職したが、コメントを捏造したとして解雇された。デイリー・テレグラフ紙では、現在のEUの前身となる欧州経済共同体(EEC)を風刺する報道で知られ、当時首相だったマーガレット・サッチャー氏に気に入られていたという。
その後、政治家に転身したが、不倫問題でうそをついていたことが明るみに出たことで、保守党の役職を解任された。2016年には一躍ブレグジットの「顔」となったが、離脱の是非を問う国民投票前、英国がEUにとどまれば毎週3億5000万ポンド(約4億4000万ドル)のコストを負担することになるという誤解を招くキャンペーンを打ち出したとして提訴された。
こうした背景から、ジョンソン氏の首相としての資質に疑問を投じる向きも少なくない。
野党・労働党のコービン党首は、ジョンソン氏が富裕層向け減税策を約束し、合意なきEU離脱を提唱することで、保守党の党首選で票を獲得したと批判。「しかし、英国の支持を勝ち取ってはいない」と述べた。
為替市場では、ジョンソン氏の勝利がすでに織り込まれていたこともあり、ポンドはほぼ変わらず。「合意なき」離脱を巡る懸念から、ポンド/ドルはここ数週間で約2年ぶりの安値となる1.24ドル近辺で推移している。
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