次期イギリス首相の最右翼ジョンソン、「問題児」でも党員の支持強固

メイ英首相の後継レースで優位に立つジョンソン前外相(写真)に対する与党・保守党員の感情は複雑だ。英バーミンガムで22日撮影(2019年 ロイター/Hannah McKay)
メイ英首相の後継レースで優位に立つジョンソン前外相(55)に対する与党・保守党員の感情は複雑だ。
例えば学校の就職アドバイザーを務め、地元教会でボランティアに従事する女性のデリス・マイルズさん(66)は、人生において正直さと家族の価値、道徳性の高さを最も重視し、薬物摂取や不倫を忌み嫌っている。
そのマイルズさんは、ジョンソン氏がかつて不倫問題などで2度もうそをついたと非難されたことや、愛人にお金を払って中絶させたり、コカインを吸っていたと認めたことは全て承知の上で、来月の保守党員による決選投票でジョンソン氏に1票を投じるつもりだ。ジョンソン氏の性格に関する懸念よりも、欧州連合(EU)離脱と党勢回復の方が大事だと語り、同氏を熱烈に応援するという。
マイルズさんは「本当に難しいところだ。時には自分自身でもなかなか説明がつかない。ジョンソン氏は愛されるか、嫌われるかどちらかで、彼を愛するなら欠点には目が向かない。私もその1人に入っている。彼の道徳心のなさがことさらに好きなわけではない」と話した。
ジョンソン氏が首相になれば、足場の弱い少数派政権を率いることになる。ブレグジット(英のEU離脱)の在り方を巡る合意がなく深刻な意見対立を抱える議会、そして英国の政治情勢に堪忍袋の緒が切れつつあるEUの交渉担当者にも向き合わなければならない。
16万人の保守党員による党首選決選投票結果は、7月23日に発表される。党員のほとんどがブレグジット推進派で右派であるため、ジョンソン氏が対抗馬のハント外相(52)に対して圧倒的に有利な状況にある。いくらジョンソン氏に「うそつき」「誇張主義者」「不真面目」「だらしない」といった悪評がつきまい、前週末には交際相手と口論になって近所の人に通報される事態が報じられてもだ。