中国が宇宙ステーションを国際開放、東京大学ほか9件の宇宙実験を受け入れ
天文学から実用的な宇宙技術まで幅広い実験が採択されており、実現すれば宇宙開発の分野で中国の存在感が高まることは間違いない。宇宙ステーション構築のコストは中国が負担するものであり、目に見える形で宇宙開発に中国が大きく貢献することは確かだろう。
ただし、中国の予定通り2022年までの宇宙ステーション実現にはまだハードルがある。宇宙ステーション計画の中核であるコアモジュール、実験モジュールの打ち上げを担う長征5号ロケットの飛行計画が遅れているためだ。2017年、長征5号は中国最南端の海南省にある海南島から2度目の打ち上げに失敗した。今年7月に打ち上げ再開を目指すとされていたが、さらなる延期を強いられていると米宇宙メディアのSpacenews.comが報じている。ロケット運用の遅れからCSSの完成は2020年代半ばへずれ込むとの見方もある。
国際宇宙ステーションは20年、100カ国以上2500件以上の宇宙実験
先行するアメリカ、ロシア、欧州、カナダ、日本の国際宇宙ステーションは、最初のモジュールが打ち上げられてから20年を迎えた。これまで100カ国以上の参加者による2500件以上の宇宙実験を実施し、日本はUNOOSAを通じて「KiboCUBE」というプログラムで超小型衛星の開発支援を続けている。第4回となる今年はモルドバ共和国初の人工衛星となる超小型衛星を受け入れ、2020年に「きぼう」実験棟から軌道上へ放出される予定だ。
宇宙実験の機会提供という宇宙を通じた国際協力の枠組みをISSが作り上げたことは間違いない。だが、一国で宇宙ステーション構築の巨大コストを負担してでも門戸を開いたCSSは、宇宙分野の魅力攻勢として強い存在感を放つだろう。2020年代に入って、地球低軌道の利用は「どの宇宙ステーションが宇宙新興国にとってより確実に宇宙開発を支援してくれるのか」という選択の目にさらされることになると考えられる。