福祉国家の優等生「北欧モデル」にひび デンマーク総選挙の最重要争点に
人が足りない
エコノミストによれば、デンマークの政府総債務残高はGDPの40%とOECD諸国平均の111%よりかなり低く、また単年度の財政収支はほぼ均衡していることから、福祉支出を拡大する余地はあるという。
だが、ノルデア・グループのジャン・ストーラップ・ニールセン氏は、「看護師を新たに1000-2000人増やす」など、双方の候補者が主張している選挙公約の一部は、雇用者数が277万人、すなわち労働人口の97%という過去最高水準に達している現在において非現実的だと指摘している。
「問題は人手不足だ」とニールセン氏は言う。「当面、政治家ができることはあまり多くない。病院に新しい看護師が1000人必要だと主張しても、どこにもそれだけの人材は見つからない」と、同氏は付け加えた。
ニールセン氏は、公共支出の拡大は経済を過熱させ、民間部門から公的部門に移る人が多くなれば、将来的な経済成長にとってもマイナスになる恐れがあると警告する。
冒頭で紹介した年金生活者のBlytsoeさんは、母親が受ける介護サービスが削減された期、訪問するたびに母親の居室をできるだけ整頓するように心がけたが、それまで国家が提供していた定期的な清掃までやることは拒否したという。
「もし私がやってしまえば、市はコストを削減し、その穴を私たちに埋めさせるという目標を達成したことになっていただろう」
Jacob Gronholt-Pedersen
(翻訳:エァクレーレン)
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