MITなど米大学に寄りそう危険なパートナー 中国AI監視企業が資金援助
声紋システム
中国科学技術省は2017年11月、1999年創業のアイフライテックを、声紋関連のAI研究における国のトップ企業に位置付けた。
国有通信会社の中国移動がアイフライテック株式の12.85%を保有する筆頭株主であることが、4月に公表された2018年の年次報告書から分かる。
アイフライテック子会社がカシュガル当局に声紋収集システム機材を納品する前述の契約について、ロイターはアイフライテックや新疆ウイグル自治区当局に取材したが、契約が実行に移されたかは確認できなかった。
また、別の子会社が同自治区の刑務所運営機関と結んだ、人間の言語や法的書類を翻訳するシステムの協力についての戦略的契約は、2017年5月に結ばれている。
自治区当局に連絡を取ったが、契約について回答は得られなかった。
政府の調達データベースには、アイフライテック子会社もしくはその前身企業が登場する契約が他に31件あり、2014─18年にかけて、中国の25の警察当局と中国公安部に声紋関連の製品やサービスを提供している。ほとんどの契約が、アイフライテックが本社を置く安徽省の警察当局とのものだった。
25の警察当局のうち8当局と公安部が、過去にアイフライテックの声紋技術を使ったり、現在も使っていることを確認した。
安徽省績渓県の警察当局者ガオ・カン氏は、アイフライテックの声紋収集機材を2015年に購入し、現在も使っていると認めた。また、「犯罪容疑者や法を破った疑いがある人物がわれわれの事件取り扱い部署に来れば、必ず声紋を収集している」と電話で語った。
人権団体ヒューマンライツウォッチのマヤ・ワン研究員は、2018年5月に同自治区住民に行った聞き取り調査で、警察署に連行され、録音機材とみられる機械の前で新聞を読んだり、歌を歌ったり、物語を朗読するよう求められたとの証言があったと語る。
新疆ウイグル自治区では、100万人以上が収容所で拘束されていると人権活動家は主張。当局側は、生体的特徴や行動上の特徴を利用して本人認証を行うさまざまなバイオメトリクス技術を用いて住民を追跡している。
中国側は、イスラム過激派を取り締まるために正当化される行動だと主張。3月には同自治区のトップは収容所のことを「寄宿学校」だと表現した。