増え続ける男性DV被害者......「恥ずかしい」と誰にも相談できない
<ドメスティック・バイオレンス(DV)というと、男性によるパートナー女性に対する暴力、というイメージが一般的だが、男性DV被害者が増え続けている......>
ドメスティック・バイオレンス(DV)「家庭内暴力、配偶者間暴力」という概念が日本でも定着して久しい。一般的に女性が被害者として語られることが多いが、実際には女性のパートナーからの精神的・肉体的な暴力に苦しむ男性も少なくない。
これまで男性の被害者は「恥ずかしい」「信じてもらえない」などの理由で誰にも相談できず、隠し通すケースが多かった。しかし最近、各国で声を上げる被害者が増えてきたようだ。それに伴い支援団体も増えてきたが、ドイツではこの度、2つの州政府が公的支援サービスを開始することを発表した。
増え続ける男性DV被害者
DVというと、男性によるパートナー女性に対する暴力、というイメージが一般的だ。だが、実際には男女間における男性の被害者も少なくない。アメリカでは今年に入って、自分の容姿に関する問いに返事をしなかった内縁の夫を殴った女性や、ボーイフレンドの性器を握りつぶし出血させた女性などが逮捕されている。どちらも20歳すぎの若い女性だ。
イギリスの最新調査(2018年3月)によると、前年のイングランドとウェールズのDV被害者は女性約130万人、男性約69万5千人とされる。調査対象となった男性(16〜69歳)のほとんどは金銭的な圧迫や脅迫、ストーカー被害など、精神的な嫌がらせを受けているようだが、約半数は身体的暴力、さらに5%は性的暴力も受けている。増え続ける犠牲者に対処するために、南ウェールズ大学などが救済プログラムを進めている(BBC)。
4人に1人が被害に
一方、ドイツ警察の発表によると、ドイツでは昨年、全DV被害者の約18%にあたる2万4千人弱の男性がレイプや殺人未遂などを含む暴力の被害にあったとされる。
ようやく明るみに出てきた男性のDV被害だが、何も最近始まったことではないようだ。2005年のドイツ政府の男性に対する暴力をテーマとした調査でもすでに「長期交際における暴力」の項目があり、インタビューを受けた196人のうち、4人に1人がパートナーから何らかの肉体的暴力を受けたことがあると報告している。うち、約10人は1つ以上の後遺症を抱えており、また同人数が生命の危険を感じたことがあるという。調査の対象は基本的に両性愛カップルなので、同性愛カップルにおける男性の被害者は含まれていない。