天安門事件30年の中国 「AI検閲」フル稼働で厳戒体制
秘密の事実
習近平氏がインターネットの引き締めを強める中、情報の流れは共産党中央宣伝部と国営メディアのネットワークに集約されてきた。検閲担当者らは、これにより主要な政治ニュース、自然災害や外交を含む一部トピックの検閲にかかる負担は軽減されたと語る。
あるバイドゥの従業員は、「ニュースであれば、ルールは簡単だ。国営メディアが最初に報じたもの以外は公認の情報ではない。特に、指導者層や政治的な話題だ」と話し、「われわれは、1989年の詳細を含むキーワードの基本的なリストを渡されているが、それらは(AIが)難なく見つけることができる」と付け加えた。
コンテンツを適切に検閲できなかった場合の罰則は厳しい。
CACによると過去6週間で、網易(ネットイース)のニュースアプリ、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)<0700.HK>のニュースアプリの天天快報、そして新浪などの人気サービスが、数日から数週間にかけてサービス停止となった。期間中、これらのサービスはアプリストアに表示されず、オンラインでも閲覧ができなくなる。
センシティブな事柄についてオンラインで情報を広めたインターネットユーザーや活動家への罰則は、罰金から懲役刑までがある。
中国では、ソーシャルメディアのアカウントは本名と国民1人1人につけられた「公的身分番号」に紐づけられることが法で定められている。当局が求めれば、企業はユーザー情報を提出する法的義務がある。
インターネットユーザーのアンドリュー・フーさんは、「知っていることを共有してはいけないと理解するのが当たり前になった」と語る。「それらは秘密の事実だからだ」
北京で働くフ―さんは2015年、出身地の内モンゴル自治区で3日間拘留された。大気汚染についてのコメントを関係のない写真と合わせてウェイボ―に投稿したのだが、その写真は天安門事件をほのめかすものだったのだ。
当局とのこれ以上のトラブルを避けるために本名のフルネームは明かせないというフーさんは、休暇で実家にいる間に警察官が現れたときには驚いたが、怖くはなかったという。
「当局者らも、インターネットユーザーと同じくらい困惑している。実際の取り締まりが不規則であっても、圧力を強めることが簡単なやり方だと、彼らはわかっている」
(翻訳:宗えりか、編集:山口香子)
[北京 ロイター]
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