天安門事件30年の中国 「AI検閲」フル稼働で厳戒体制
ネット上は厳戒態勢
30年経った今も、民主化デモを率いた学生らが政府によって武力制圧された天安門事件の話題は、中国国内ではタブーとなっている。正確な死者数は明らかになっていないが、人権団体の予測や目撃者の証言は、数百人から数千人と幅広い。
6月4日は当局とのいたちごっこの日でもある。
明らかに事件を連想させる言葉は即座にブロックされるため、ソーシャルメディア上では検閲を避けるためにどんどん曖昧な言葉を使うようになったからだ。何年かの間は、「今日」という言葉すら検閲を通らなかったほどだ。
2012年6月4日には、中国で最も注目される株価指数の上海総合指数が、事件の年月日を思い起こさせる64.89ポイント安となったことも話題になった。
アナリストらは偶然との見方を示したが、それでもマイクロブログなどでは「上海株式市場」や指数が、他の曖昧な言葉とともにブロックされた。
企業の検閲ツールが精密化する一方で、アナリストや研究者、そしてユーザーらは、記念日や政治イベントを控えた神経質な時期には、強圧的な政府方針により幅広い話題のコンテンツが一挙に検閲されることになったと指摘する。
6月4日を控えた現在、ソーシャルメディアでは性的少数者(LGBT)グループや労働活動家、環境活動家や非政府組織(NGO)も検閲の標的になっているという。
検閲技術の性能向上は、 中国サイバースペース管理局(CAC)が発表した政策でも急務とされていた。CACを設立し、公式に率いているのは、これまでインターネット上の思想の取り締まりを強化してきた習近平国家主席だ。
CACは取材に応じなかった。
去年11月、CACは中国のオンライン上で異議を唱える人々を排除することを狙った新しい規則を導入。「中国共産党の歴史を歪曲する」行為について、個人およびプラットフォームが処罰対象となった。
新しい規則により、「社会的な動員」や「世論を大きく動かす」ために使われる可能性のあるインターネット上のプラットフォームは、審査報告書や査察を要求されることになった。そして、本名やネットワーク・アドレス、アクセスした時間、チャットや音声通話の履歴を含んだ情報の提供を求められる。
あるCAC当局者はロイターに対し、最近のオンライン検閲の強化の理由が来月の天安門事件の記念日である可能性は「非常に高い」と語った。
「企業とも常に連絡を取り続けている」と語るこの人物は、天安門について直接言及せず、「6月の神経質な時期」と表現した。
各企業はほぼ独自に検閲を行っており、CACから指示を受けることはほとんどないが、「社内の倫理部署と共産党部署で」ガイドラインを策定する責任があると、この当局者は語った。