ファーウェイたたきはトランプの大博打
Huawei, China, and a Trade War
実際、中国で著名なアメリカ研究者として知られる中国人民大学国際関係学院の金燦栄(チン・ツァンロン)副院長は、共産党系タブロイド紙・環球時報への寄稿で、「米企業の中国国内市場」にそのような攻撃を仕掛けてはどうかと提案している。
ファーウェイに対する一連の措置は、昨年4月のZTEに対する「死刑判決」を思い起こさせる共通点がある。どちらの企業も米中の貿易摩擦が悪化しているときに、アメリカ企業から部品を調達することを禁じる措置を受けた。
ZTEのときは、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席がトランプに直訴した結果、ZTEへの制裁は解除された。このため、トランプは今回も徹底的なファーウェイ排除措置を取ることで、習が再び譲歩に応じることを期待しているとの見方がある。なにしろファーウェイは、中国が世界に誇る巨大通信機器メーカーだ。
実際、今回のダブルパンチは立法を伴わない行政措置だから、発令したときと同様に、撤回するのも簡単だ。ファーウェイをエンティティー・リストに残したまま、取引申請をほぼ例外なく許可する方法を取ることもできる。
だが、習が再びトランプに直接助けを求めてくることを期待するのは、環境の変化を読み誤っている。昨年ZTEが制裁を受けたときは、米中貿易戦争はまだ比較的初期段階にあり、中国は交渉のテーブルに戻る道を積極的に模索していた。
次回協議の見通しなし
あれから1年がたち、中国メディアの報道は、ナショナリスト的な論調が強くなっている。それは中国の忍耐が限界に近づいているサインだ。中国政府は、貿易交渉におけるアメリカの「態度の急変」に辟易し、もはやアメリカの「ガキ大将的な行動」に譲歩するべきではないというのだ。
例えば、中国商務省の高峰(カオ・ファン)報道官は16日の会見で、「11回目の(米中)高官級協議では、双方がオープンで建設的な話し合いをした」と語った。「アメリカ側が一方的に対立をエスカレートさせ、交渉を大幅に後退させたことは遺憾だ」