最新記事

日米関係

令和初の国賓でトランプ来日 「ゴルフ・大相撲」のおもてなしで日本経済守れるか?

2019年5月24日(金)12時30分

5月24日、トランプ米大統領が、新天皇即位後初の国賓として25日から28日まで日本を訪れる。写真は専用機で手を振る同大統領。ペンシルベニア州 で20日撮影(2019年 ロイター/Carlos Barria)

トランプ米大統領が、新天皇即位後初の国賓として25日から28日まで日本を訪れる。安倍晋三首相は、大統領とゴルフをプレーし、大相撲を観戦するなど日米の「蜜月」をアピール。夏の参院選を前に「外交力」を印象付ける狙いもありそうだ。ただ、日米首脳会談では、自動車・農産物などの通商交渉も議論するとみられ、友好ムードの裏での駆け引きからも目が離せない。

トランプ大統領は25日夕、専用機で羽田空港に到着。26日午前は、千葉県茂原市のゴルフ場で安倍首相と自慢の「腕前」を競う。青木功プロも招待され、両首脳とプレーするとみられる。

同日夕には東京・墨田区の両国国技館で大相撲夏場所・千秋楽の取り組みを桟敷席から楽しむ予定。優勝力士の表彰セレモニーでは、大統領自ら土俵に上り、「トランプ杯」を授与する。

その後は、東京・六本木の炉端焼き店で安倍首相主催の非公式夕食会が催される。

27日午前は、令和時代初の国賓として皇居で天皇・皇后両陛下と会見する。終了後、東京・元赤坂の迎賓館で安倍首相と首脳会談に臨み、午後に安倍首相との共同記者会見が行われる。

同日夜は皇居・宮殿での宮中晩餐会に出席。28日は海上自衛隊・横須賀基地でいずも型護衛艦「かが」を訪問する。

米大統領が3泊4日の予定で日本に滞在するのは、1992年のブッシュ大統領の訪日以来。

複数の政府・与党関係者によると、新天皇即位後初の国賓として、中国の習近平国家主席を迎えるアイデアも政府内に一時、あったとみられるが、日米基軸の外交方針を内外に示すうえでも、トランプ大統領を迎えることが適切との判断にいたったようだ。

トランプ大統領と安倍首相は今年4月末にワシントンで首脳会談を行ったばかり。

大統領は6月末に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に参加するため、再度訪日する予定。3カ月で3回の日米首脳の顔合わせは、前例がないという。

ただ、「蜜月関係」とは別に、国益がぶつかり合う激しい交渉が展開されている。茂木敏充経済再生相とライトハイザー米通商代表(USTR)代表が担当している日米通商交渉だ。

首脳同士がゴルフや大相撲を楽しんでいる一方、農業分野や自動車問題で、しのぎを削るようなやり取りが展開されそうだ。

主要なテーマになる日本から米国への自動車輸出や米国産農産物の日本への輸出拡大では、日米間の主張に大きな隔たりがあり、今回のトランプ大統領の訪日期間中に、何らかの大枠で合意する見通しは立っていない。

ただ、トランプ大統領は来年の米大統領選を見据え、早期の合意と明白な「果実」の獲得に積極的とみられ、日本側はトランプ大統領の「ツルの一声」による圧力を強く警戒している。

竹本能文 編集:田巻一彦

[東京 24日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250318issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年3月18日号(3月11日発売)は「日本人が知らない 世界の考古学ニュース33」特集。3Dマッピング、レーダー探査……新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:アフリカのコロナ犠牲者17万人超、予想を

ワールド

米上院、つなぎ予算案可決 政府機関閉鎖ぎりぎりで回

ワールド

プーチン氏「クルスク州のウクライナ兵の命を保証」、

ビジネス

米国株式市場=急反発、割安銘柄に買い 今週は関税政
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 2
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴された陸上選手「私の苦痛にも配慮すべき」
  • 3
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先史時代の支配者の実像とは?
  • 4
    【クイズ】世界で1番「天然ガス」の産出量が多い国は…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 6
    エジプト最古のピラミッド建設に「エレベーター」が…
  • 7
    鈍器で殺され、バラバラに解体され、一部を食べられ…
  • 8
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 9
    自然の中を90分歩くだけで「うつ」が減少...おススメ…
  • 10
    ピアニスト角野隼斗の音を作る、調律師の知られざる…
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 3
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 4
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 5
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 9
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 10
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中