比ドゥテルテ大統領、メディアと対立激化 一族の資産を巡る疑惑報道に敵意むき出し
メディアへ敵意をむき出しにするフィリピンのドゥテルテ大統領 Erik De Castro / REUTERS
<権力の座にある者と報道機関の対立はどの国でもあることだが、現在のフィリピンはそれがエスカレートし異常ともいえる状況になりつつある>
フィリピンのドゥテルテ大統領とメディアの関係が悪化している。ジャーナリスト団体が、ドゥテルテ大統領とその親族の資産が2016年6月の就任以来、急増していることを明らかにし、それに関連して元最高裁長官らがドゥテルテ大統領に「説明責任」を求める事態になっているのだ。
これに対しドゥテルテ大統領は「政治家としての収入以外について批判を受ける筋合いはない」と説明を事実上拒否するとともに、批判的なメディアに対し「仕返しする」などと敵対する姿勢を強調。5月の中間選挙に向けて大統領とメディアの間の緊張が高まりつつある。
最近の世論調査でも国民のドゥテルテ大統領と政権に対する支持率は79%と依然として高止まりしており、こうした支持率の高さを背景にドゥテルテ大統領は相変わらず強気の姿勢で、これまで同様に麻薬関連犯罪への厳しい姿勢、反大統領派への反撃などの政策を継続すると同時に、大統領に批判的なメディアへの締め付けをさらに強化しようとしている。
フィリピンのジャーナリスト団体「調査報道センター」が4月4日に明らかにした報告によると、ドゥテルテ大統領とその一族の資産が、大統領就任以来増加している実態が報告されている。
具体的には大統領に就任した2016年6月のドゥテルテ大統領の資産が2,408万ペソ(約5,200万円)だったのに対し2017年には2,854万ペソ(約6,174万円)に増加、娘のミンダナオ島ダバオのサラ・ドゥテルテ市長は2016年6月の3,490万ペソ(約7,550万円)から2017年には4,480万ペソ(約9,692万円)、長男の元ダバオ副市長パオロ・ドゥテルテ氏は同じ時期に1,984万ペソ(約4,292万円)から2,774万ペソ(約6,000万円)にそれぞれ増加している。
ドゥテルテ大統領自身と娘のサラ市長はそれぞれ弁護士事務所を経営しており、その収入を資産報告書に記載しておらず、公表されている資産に加えて隠し財産があると指摘されている。
さらにサラ市長が夫と共同で経営する弁護士事務所は証券取引委員会に未登録であり、顧客の中に関税局と取引がある仲介業者が存在することも同センターの調査で明らかになっている。