国家崩壊ベネズエラ、アメリカは遂に力でマドゥロを排除するか
U.S. Withdraws Last Diplomats From Venezuela
全土停電4日目、断水が続いて川に流れ込む排水を汲む人々(3月11日、ベネズエラの首都カラカス) Carlos Garcia Rawlins-REUTERS
<トランプはかつて側近に、「アメリカはなぜベネズエラに侵攻して独裁者を排除しないのか」と尋ねたことがある>
アメリカ政府は、最後まで残っていたベネズエラ駐在の米大使館職員全員に帰国命令を出した。トランプ政権がベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を退陣に追い込むために仕掛けた政治的、経済的な圧力が功を奏さず、膠着状態に陥っているなかでの決断だった。
マイク・ポンぺオ米国務長官は3月11日、ベネズエラに残留しているアメリカ人外交スタッフがマドゥロと「暫定大統領」就任を宣言したフアン・グアイド国会議長との権力闘争に巻き込まれることを懸念し、ベネズエラからの完全撤退を発表した。ポンぺオによると、アメリカ人職員は全員、週末までに帰国するという。
ベネズエラでは3月7日以降、全国規模の停電が続いており、主要都市の交通運輸は麻痺し、水の供給は途絶え、冷蔵庫の貴重な食料は腐敗するなど、もともとの生活困窮に拍車をかける大混乱に陥っている。マドゥロは、大規模停電はアメリカが発電用ダムに攻撃を仕掛けたせいだと非難した。
ポンペオは即座にこれを一蹴、「今回の帰国命令は、ベネズエラの状況悪化と、米大使館に外交職員が残留していると政策の自由度が制限されるとの判断によるものだ」とツィッターで説明した。
若きリーダーへの期待
マドゥロはウゴ・チャベス大統領の死去に伴い後継者として2013年に大統領に就任。それ以降、独裁的な権力を維持している。彼の経済政策は国を窮地に陥れ、何百万人もの国民が国外へ逃れるほどの危機を引き起こした。政権幹部は私腹を肥やし、数々の腐敗と相次ぐ人権侵害で国内外から非難されている。
グアイド(35歳)は野党主導の国民議会における若きリーダーで、今年1月に暫定大統領への就任を宣言した。グアイドは昨年5月の大統領選挙におけるマドゥロの勝利が違法だったと主張。そのような場合、ベネズエラ憲法は、新しい選挙が行われるまで国会議長が暫定大統領になると定めている、とグアイドは言う。
ドナルド・トランプ大統領はただちにグアイドへの支持を表明した。この若いリーダーを合法的な暫定大統領と認め、マドゥロの辞任を求めた。