最新記事

ベネズエラ

国家崩壊ベネズエラ、アメリカは遂に力でマドゥロを排除するか

U.S. Withdraws Last Diplomats From Venezuela

2019年3月13日(水)16時30分
デービッド・ブレナン

トランプ政権はグアイドの暫定大統領就任を支持すれば、すぐにマドゥロの失脚につながると期待していた。ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、トランプ政権は数カ月にわたって議論を重ね、グアイドと連携する計画を立てていた。

だが影響力の強いベネズエラ軍部は、相変わらずマドゥロに忠誠を誓っている。誰が政権をとるにせよ、軍部の支持は治安の安定に欠かせない。グアイドと米政府は軍の支持を集めようとしたが、期待に反してグアイド支持に転向したのはほんの一部だった。

NBCニュースの報道によれば、国際的には50カ国以上がグアイドへの支持を表明しているが、ロシアと中国など、マドゥロを引き続き支持する国もある。中国とロシアの支援を受けて、56歳のマドゥロ大統領は、米政府の当初の期待よりもはるかに長く、政権を維持することができるかもしれない。

外交と経済からマドゥロに圧力をかける計画が行き詰まり、米政府はもっと「積極的な」選択肢を検討する可能性がある。トランプは以前、「アメリカはなぜ、ベネズエラに侵攻して独裁者を排除できないのか」と尋ね、側近や軍高官を青ざめさせたことがあるという。

きな臭い政権幹部の動き

観測筋によれば、タカ派で知られるジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、ベネズエラに対してより強硬な政策を提唱しているようだ。ボルトンは最近、「5000人の部隊をコロンビアへ」という文字が書かれたノートを抱えて記者会見に登場、その写真が各紙に掲載されニュースになった。コロンビアはベネズエラの隣国だ。

今年1月に、レーガン政権で国務次官を務めたエリオット・エイブラムスが人道援助担当としてベネズエラ問題の責任者に起用されたことも注目されている。エイブラムスは80年代に、ロナルド・レーガン大統領によるニカラグア右派反政府勢力への資金と武器の支援に関わっていた人物であり、マドゥロ政権を弱体化させる秘密作戦がもうすぐ実行されるのではないかという疑惑が囁かれている。エイブラムスはまた、チャベスに対する2002年のクーデター未遂にも関係していた。

マドゥロはベネズエラでは人気がない。だが専門家によれば、グアイドの勝利がアメリカ政府によって導かれ、コントロールされたものだという見方が広まることは警戒すべきだ。南米にはアメリカからの干渉を受けた長く苦い歴史があり、南米の人々はアメリカの指導者たちの約束をまったく信頼していない。マドゥロも、自分に対する抗議運動を帝国主義者によるクーデターの試みだと信じさせたがっている。

マドゥロは、ベネズエラ侵攻は「アメリカには想像できないほどひどい第2のベトナム戦争」になると警告している。彼はまたアメリカ国民に、直接の軍事介入をやめるよう政府を説得してほしいと求めた。

大使館職員全員への帰国命令は、トランプ政権が外交を通じてベネズエラに介入する道をあきらめた証拠にみえる。ポンペオが言うように、政策がどこに向かうにせよ、アメリカ人の存在は、もはや今後の展開を「制約」するものでしかない。

(翻訳:栗原紀子)

※3月19日号(3月12日発売)は「ニューロフィードバック革命:脳を変える」特集。電気刺激を加えることで鬱(うつ)やADHDを治し、運動・学習能力を高める――。そんな「脳の訓練法」が実は存在する。暴力衝動の抑制や摂食障害の治療などにつながりそうな、最新のニューロ研究も紹介。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、NATOと中国に圧力 ホルムズ海峡協力

ワールド

イランが500人逮捕、敵対勢力に情報提供の疑い=警

ビジネス

VW、中国1─2月販売で首位奪還 BYDは4位転落

ワールド

台湾経済は好調、特別防衛予算の捻出十分可能=総統
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングアップは「2セット」でいいのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 6
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 7
    ぜんぜん身体を隠せてない! 米セレブ、「細いロープ…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 10
    50代から急増!? 「老け込む人」に共通する体の異変【…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中