全人代「中国の国防費」は脅威か──狙いは台湾統一
「台湾同胞に告ぐ書」は改革開放を宣言した翌年の1979年1月1日にトウ小平が発表したもので、その日はちょうど、米中国交正常化が正式に成立した日でもあった。
そのアメリカが、今では中国(大陸)に敵対し、台湾を応援しようとしている。そのことに対する中国の対米警戒心は尋常ではない。
来年には台湾総統選がある。
CCTV4(国際チャンネル)のお昼のニュースでは、全体が40分から45分程度の長さのニュースの中で、毎日10分から15分ほど台湾現地からのニュースに割くほど力を入れている。いかに「一国二制度」を基軸にする「92コンセンサス」を認める国民党が優勢であるか、いかに蔡英文総統が率いる台独(台湾独立)を唱える民進党が劣勢であるかを追いかけて、しつこく報道しまくる。特に台湾の経済界や青年たちは中国大陸の方にしか関心がなく、いかに蔡英文が孤立しているかを強調しているのである。
そのため台商(台湾商人)には大陸における特別の優遇策をさらに強化し、台湾青年を大陸に招いて勉学させるなど、あの手この手で勧誘している。
日本に安保対話を求めた蔡英文を蹴った日本
このことは日本と無縁ではない。
今年3月に入って、蔡英文は日本のメディアの取材を受けて「日本と安保問題に関して対話をしたい」という期待を述べたという。3月3日の台湾メディア(中央社)が伝えた。
一方、3月2日の産経新聞の<蔡英文総統、日本に安保対話要請 本紙インタビューで初明言>によれば、どうやらその「日本のメディア」は産経新聞であるらしい。
中国(北京政府)からのプレッシャーが強まる中、蔡英文としてはアメリカが「台湾旅行法」などで台湾とアメリカの政府高官を含めて行き来する自由を認めるなど、台湾に対する融和策を進めているので、きっとアメリカの同盟国である日本も、同じように対応してくれるにちがいないと期待したのだろう。
ところが3月8日に開かれた記者会見で、産経新聞の力武記者の質問に対して、河野外務大臣は「日本と台湾との関係は,非政府間の実務関係を維持していくというので一貫しておりまして,この立場に基づいて適切に対応してまいりたいと思います」と述べたようだ。外務省のホームページの中の<河野外務大臣会見記録>が伝えている。
これら一連の流れに関して「中国台湾網」は<"安保対話"一方的な願望 蔡英文、又もや日本に恥をかかせられた>とせせら笑っている。河野大臣の「日本と台湾との関係は,非政府間の実務関係を維持していくというので一貫しておりまして」というフレーズは、「拒絶」の意味でしかないという解釈だ。